行く末トーキー

はじめからはじめよ

?の意味 ― ミュージカル「I'm donut ?」

ミ◯ドの白いあれを食べたいと思いつつ、でも帰りにドーナツもらうんだよなぁと思うとなかなか踏ん切りがつかない日々。出かける頻度がぐっと下がったから1回1回に用事を目一杯詰め込みがち。

鑑賞の記録

  • タイトル:ミュージカル「I'm donut ?」
  • 日時:2023/07/01 17:00
  • 場所:Mixalive TOKYO Theater Mixa

前回よりちょっと前の席。セットの都合上、前に座ると手元が見づらかったり死角が増えたりしてちょっと困る。でもダンスの足踏みで発生する揺れを体感できる。表情もよりくっきり見える。一長一短とはこのことだ。

そういえば客席ドセンに通路がある劇場って初めてかもしれない。前回は何気なく「そういうものだ」と思ったけど実は初めて……かも? あのくらいのキャパだと3ブロックには分けられないし、かといって1ブロックでは真ん中あたりの人が入りづらいから、真ん中に通路を作るしかなかったのかな。でもこの配置のおかげで最後の演出が映えるから楽しい。

劇中で「I'm donut ? のハテナの意味」が重大なヒントとして出てくる。でも発音上は「?」がほとんど抜け落ちている。なんだか不思議だ。ハテナをきちんと意識して言うと変にひっかかるからしょうがないんだろうけれど、大事なキーなのに声には乗らないんだね。

ハテナの意味はドーナツが生まれる過程にある(ドーナツを作ろうとして生まれたドーナツではない)と説明されるけど、むしろ私は「I'm」の方が引っかかっている。なんで「This's」とか「Is this」とかではなく「I'm」なんだろう? インパクト重視?

最後にもらえるドーナツ(つぶらドーナツ)の味が分かった状態で見ると一層おもしろい。つぶらドーナツを食べた瞬間のマキアの反応、私のそれと大体一緒だった笑。一口食べて、あれ?ってなって、また一口、また一口、と食べ進める。もちろん美味しいんだけどそれだけじゃない。なんか一瞬「あれ?」「なんだこれ?」ってなるんだよな。恐らくピスタチオが乗っているつぶらドーナツ。でもなんか、ピスタチオと聞いて想像する感じとは違うような……。いやまぁピスタチオそこまで食べたことないけど……。これ書きながら今日の分も食べてるけどなんか違うんだよ。なんだろうなこれ。私が割りと決まったものをずっと食べ続けるタイプだからってのもあるが、一切飽きない。こんな感じだったと思ってもまた「あれ?」ってなる。不思議な味だ。

もちろん劇中で食べるシーンはどれも演技。でも多分、I'm donut ?を初めて食べた瞬間を彼らなりに解釈したんだろうな。味覚でも共通点が見つけられる作品って楽しい。面白い。新感覚。

最初にフライヤーの電源が入って、冷蔵庫が開く音がするのも好き。ラストシーンも同じ音から始まるところも好き。ドーナツが主役の作品だよって伝えてくれてるみたい。舞台上の時計が開場時点では10時なのに、開演直前になると5分戻ってるのも好き。こういう細かい作り込みに自然と気付くサイズの箱ってところも含めて好き。登場人物も3人だけだから、全員を視野に入れつつ誰か1人に焦点を合わせられる。箱のサイズって作品を見るにあたってあまり気にしたことなかった(せいぜいチケットの倍率や見え方に気を揉む程度)けど、今回不意に「このくらいの大きさで良かったな」と気がついた。大きいところでやるってなったら全く別の作品になったんだろうな。

今日の昼で公演期間が折り返したらしく(カテコの立石さん談)、3人の芝居にも遊びみたいな部分が増えた。マキアが店員として乱入してくるシーンでリョウが笑っちゃったり。笑っちゃいけない人が笑っちゃったのでちょっと空気がグダった。カテコで改めて聞いたら、名乗りは耐えられたけどその後の押し返すシーンで、目の前に来た荒牧さんの顔がひどかったからとのこと。「顔がひどかったって何?!」とびっくりする荒牧さん。自分で仕掛けておいて自分で半分笑っちゃってるのが伝染ったらしい。荒牧さんそういうとこある。

カテコのわちゃわちゃを見るのも久しぶりだな。立石さんの挨拶にちょっとハラハラする。「ちゃんと言えました」で拍手が起きる作品。かつての荒牧さんを見ているようで手に汗握ってしまう。本編に全力を注いだ結果抜けたり噛んだり間違えたり、いろいろあったよね。そう思うと成長したんだな。多分。自分で仕掛けて自分で笑っちゃうけど。

見たいものを過不足なく見られるし、最後に美味しいドーナツももらえるし、いい作品に出会えてよかったなぁと思う。2000円のドーナツも買ったよ。明日食べる。冷蔵庫に入れたから日持ちしてくれ! さすがにこの時間に2個以上はきつい! もたれる! 肥える! 肌が荒れる!