行く末トーキー

はじめからはじめよ

祈る嘘 ― 剣劇 三国志演技 孫呉

引っ越したら近所にちょうどいい感じの桜の木がなくなってしまったので、これ幸いと明治座の傍で花見もしてきた。自分でおにぎり握って弁当作ってのんびりまったり。コラボ味噌汁とかお弁当とかはどれも絶対辛いんだよね。推しと味覚の方向性が180度違うのでうかつに手が出せない。お前のピリ辛は俺の激辛。

ちなみに昨日150円だった大根は今日見たら240円くらいになってた。なんだったんだろう。夢?

観劇の記録

前2回がどうにも席に恵まれなくて、お前がプロデュースした公演のFC先行なんだからもうちょいどうにかしてくれ~~~~!!!って感じでもどかしかったんだけど、3回目にしてようやくちゃんとした席が来た。かなり良い席だったので許した。いやしかし見切れも同然のところを最速先行で出すなや……。

断金があそこから幸せになる保険はないんですか?

昨日と同じこと言ってるけどやっぱ同じこと思う訳だよ。伯符なんで死んじゃうの……まだまだこれからってところだったのに……ようやく思いが通じ合ったのに……。雪原の「伯符ぅ……怖いんだ……」も大概だけど、そのちょっと後の立ち回り中にある「ありがとう、助かったよ」もなかなか良い声してる。

で、昨日は「悪霊云々をもっと早く言うとか」って書いた。その考えを持ったまま今日じっくり見て、たとえ周瑜がもっと早い段階で悪霊説を思いついたとしても、彼はそれを口にはできなかっただろうなというところに落ち着いた。周瑜自身が言うように「伯符が正気に戻ったら自分を傍においてくれないかもしれない」という恐れもあるし、何より伯符に嘘をつくことは自分の矜持やら伯符からの信頼にかけて許しがたいと思ってたんじゃないかな。

「正気に戻ったら傍においてくれないかもしれない」が全くの杞憂なことはさておき。

今回の話では戦がクローズアップされているけど、時代を考えると裏切りなんかも当たり前にあっただろう。そんな中で絶大な信頼を置いてくれる伯符に、たとえ彼を救うためだとしても嘘は口にできない。そう考えるのが自然な気がする。転機はやっぱり程普との会話だよな。「あなたがいるからあの子は頑張れるんです。頑張れちゃうんです」と「頑張らせてあげてください」。すごい言い回しだ。最後に「よく頑張りましたね」と褒めてくれるところもセットで完成度が高い。あそこで、公瑾は「自分が理想とする主従関係にあてはめた伯符と自分」ではなく「伯符の望む理想の姿に寄せた伯符と自分」を選んだ。一国を統べる王の補佐としては有り得ざる態度でも、そうしなければ伯符を救えないと腹をくくった。

伯符はどこまで察してたんだろうなぁ。「そんなつもりじゃなかったんだ」とかの言い方を考えると、心の何処かでは自分のおかしさを理解してたような気もしなくはない。少なくとも完全に落ちきってはいない。最後の最後で戻ってこられたのは、きっと公瑾の存在があったからで。公瑾がいたからおかしくなったとも言えるし、公瑾がいたから戻ってこられたとも言える。ありとあらゆる因果が公瑾と伯符をぐるぐる巻にしている。つらい。

だってさー、伯符の「将来の夢は平民」を知ってるのは恐らく公瑾だけなんだよ。程普でさえ、お味噌汁は「なんでかは分からないけれど孫策が食べたがっていた」と言うに留める。知った上で周瑜に配慮した可能性もゼロじゃないけど。そこまであけすけに何でも見せ合ってきた間柄って思うと、やっぱり確かに嘘は言えないよなぁ……でもなぁ……とメソメソタイムが始まってしまう。

孫策の最期を伝えるあたりから、周瑜は意図して事実を隠している。ずっと「強い伯符」像にすがってきた彼が「偉大な孫策大将軍」像を守る側に立つ。そうすることが、公瑾なりの伯符への弔いの形なのかもしれない。「わたしの伯符」を独占したいという子供じみた願望も混じっているように感じなくもない。いや「わたしの伯符」ってすごいな。ひとつひとつの言葉が丁寧に選び抜かれている。

考えれば考えるほどこうなるしかなかったんだろうって分かるけど、だからって納得できるかは別じゃん?!?!?! 「ふたりでひとり」は「ふたりでひとり」だからいいのであって「ひとりだけどふたり」は全然ジャンルが違うんだよ。ンギィ……みたいな声出ちゃう。頭抱える。

はぁ~~~~~なんか開幕前からは全然想像つかなかった話だし想像しない方向から刺さってきて大変だよ。良い意味でこんな話だとは思わなかった。もしかしたら、荒牧さんが初めて三国志に触れた時の衝撃を追体験しているのかもしれない。「こんな話があるなんて」ってどこかで言ってたし。話全体としては未来を匂わせて明るくまとめつつ、ままならなさが息苦しい。なんでや。なんで伯符死んじゃうんだ。

てか続けざまに浴びたおかげで1部の記憶をきちんと維持できるようになってるな。私もちょっとは進化しているらしい。

孫策の最期のシーン、太史慈がずーーーーーーーっと立ち尽くしていることに気付いてなんだかぞっとした。他の人は膝をついたりして悲しむ中、ただ立っている。微動だにしない。太史慈の上に雪が積もる。あれも彼なりの弔いの形なのかなぁ。ずっと周瑜を見てたから気付かなかった。

殺陣はどんどん速度が上がっている……よね? 階段と平地ではギアが違う。あ、そういえば劉表さまがお茶こぼしてた。太史慈が「俺が刀を持ってなくてよかったな」と凄んでもひょうひょうと受け流す劉表さま。殺陣師でもある人をあのポジションに据える贅沢さもすげぇよなぁ。

現地はこれで最後。配信楽しみ。まだちょっと聞き取れてない台詞があるので補完したい。程普はメガネかけたままかっこつけてくれ!!!!!メガネなしもいいけど!!!!