行く末トーキー

はじめからはじめよ

触れる ― MANKAI STAGE A3! ACT2 WINTER 2024

いいのか? 私は観劇前に大根1本(120円)を買っていくおたくだぞ?

観劇の記録

プチトマト(15個くらい180円)も買ったぞ?

……だって安かったから……比較的小さめだしカバンに収めておいたから許されたい。この時期1本120円はマジの激安なの。こないだも大根買った話したけど1本あれば2週間食べていけるから本当助かるんだよ。今が旬で調理しやすい根菜ってあんまりないし、ただでさえ野菜高いしで買わずにはいられなかった。

雑感

荒牧さんが卒業して初の冬組公演。定本さんの紬じたいは見たことあって、でもサポメンだとあんまりよく分からんなぁという印象だった。その時も「冬組公演だったらまた違うのかな~」って書いた気がする。

で、満を持して(?)冬組。TDCは剣劇三国志とほぼ被っていたので無理だった。現地で1回しか見ないエーステって実は初めてなのでは。0(配信のみ)or複数が常だったような。

なんだか不思議な気分だった。どこを見たらいいか分からない、が正直なところ。場面ごとに中心となっているところを見てはいるものの、今ひとつ焦点が合わないというか、流れを追っているだけというか。楽しくない訳じゃないというかやっぱり1000%楽しいんだけど、今までとは違う。何が違うかは未だ言葉が見つからない。

作品そのものはめっちゃよかった………! エーステで見ると冬組が一番好き。本編も劇中劇もぐわっと解像度が上がる。あ、そういうことだったんだ、がたくさんある。これ書いたらアプリでもう1回イベスト読みたくなる。

中でも一番腑に落ちたのは、第4回公演で紬さんが「俺のことは板の上で感じてください」と言った時の……心境? みたいなもの。あの丞さんでさえ探りながら言葉で伝えてくれたのに、どうして紬さんはあの一言で済ませてしまったんだろうというのがずっと分からなかった。

で、今回の2作を見て、冬組にとって芝居って「自分や相手の心に触れる行い」なのかなぁと気がついた。秋のおたくなので秋の話をすると、彼らはポートレイト大好きじゃん。事あるごとに一人で演じて、吐き出して、を繰り返す。あれは多分、自分の中でひとつの線を引いて区切らないと向き合えない事柄なんだろうね。自分でも扱いかねるとか、傷つけた相手がいるとか、いろいろな理由で、どうしても生身の自分では抱えきれないことを「芝居」というフィルタ?建前?でかろうじて外に出す。

一方冬組は、秋組がそうやって人為的に作り出す線をすでに内側に備えている。2幕で東さんも「そういう時期はもう通り過ぎちゃったかな」って言ってるし。でもその後すぐに取り消すように、その線はまだちょっぴり脆いしゆらぎやすい。その揺らぎを「舞台だから」「芝居だから」みたいな言葉で受け入れて、相手の揺らぎにもそっと手を添える。そういった暖かなやり取りを知っていて、ガイさんにも感じてもらいたかったからこそ、紬さんはあえて詳しく説明しなかったのかなぁ……と。見当違いかもしれないけどね。

思えばエンジェルスノーでも「冬が寒さを増すのは寄り添えるためのプレゼント」ってあるし、彼らは他の組が何気なくやることにもひとつひとつ理由が必要で、むしろ遠慮なくぶつかりあえる芝居の方が例外なのかもしれない。でも分かるな~~~~。しんどい、って口にするのも大変なんだよね。相手の負担にならないかなとか、まだ我慢できるしな、って飲み込んでしまう。遠慮しなくていいよと言われてもこっちは気に病むんだ。そこを乗り越えるために演劇の力を借りている、のかもしれない。

にしても沈黙の使い方すっっっっっっっごい良かった。対比が鮮やか。千景さんが上段、冬組が下段にいて、それぞれ別の会話をしているはずなのにシームレスに繋がっているやり取りとか。制作陣が観客を信頼して作ってくれているのがよく分かる。同じような沈黙でもシーンごとに劇場全体の空気が全然違って、これだから観劇は止められねぇ……!って興奮してしまった。観客も入れて全員で作り上げる空気感が好き。1幕ラストでレニさんがゆっくり舞台へ向かっていく時の張り詰めた感じが一番好きかなぁ。息を殺して足音に耳を澄ませる。リスゲのポーカーシーンも良かったけどレニさんのシーンは意表を突かれたという意味もあって二重に良かった。

あ~~~~やっぱ見足りないな。慣れてきた頃に終わってしまう。でも今回は時間もお金も(ついでに倍率も)1回が限界だった。配信あるけど~~~そうじゃないんだよな~~~~。