行く末トーキー

はじめからはじめよ

意味 ― 剣劇 三国志演技 孫呉

帰りにスーパー寄ったらなんと大根が1本150円で売られてて、嬉しくなっちゃったから1本そのまま抱えて持ち帰ったよね。もう大根の旬終わったし天候不順か何かで野菜が高くてしょうがなかったので輝いて見える。

鑑賞の記録

先日何気なく自分の過去記事を読み返してたら、去年の演劇ドラフトグランプリの感想で「『俺はこれを見せたいんだ!』という我の強さがもう少しほしい。」と書いていた。すっかり忘れてた。基本的に記事書いたら一区切りなので記憶が薄れがち。

なんだ、できんじゃん。一番近い言葉を選ぶと「見くびっていた」だろうな。個人イベントはともかく、舞台公演としてこれだけの規模で「俺はこれがやりたい!!!これを見せたい!!!!」ができるのだと、荒牧さん像が少し更新された。

今回は原作……?原作?にあたる部分をほとんど何も知らない状態で臨んでるんだけど、原作(原作?)が好きな方々からも好評らしい。あ、互い違いに寝る理由教えてもらいました! 古代中国だと、仲が良い人が一緒に寝る時はああなるんだそうです。ありがとうございます。「昔みたいに」って言ってるから断金はずっとあんな感じで寝てるんだろうなぁ。わぁ……解像度上がる。多分学べば学ぶほど気付くことも増えるんだろうけど、原作(原作?)が広大すぎて何から手を付けたら良いか見当もつかない。原作って言ってるけど原作じゃないしな。歴史。一応世界史取ってたけどそれこそもう体感的には歴史上の出来事と同じくらい昔の出来事だから何も分からん。「そんご」で「孫呉」が出てくるのも今回初めて知った。

明確にこれといった原作がある訳じゃないのに、孫呉や断金が好きな層に届いているのもすごいことだよね。荒牧さんや出演者のファンにもともと三国志好きな人がいたり、知り合いに広めたりしてるのかな。権利やら権力だけじゃなくて影響力も存分に振るってる。グッズもばんばか売り切れる。もうちょい作った方がよかったんじゃ……?とは思うけども。

中身の話をしよう。

先週の初見はとにかくマクベスハムレット+若干の走れメロスに驚いてばかりだったし2部の好き勝手殺陣ショーに翻弄されて全体的に「すごいものを見た……」と感想が均されてしまった。でも今回は大まかな筋を知っている状態で、加えてあちこちの感想文から前提となりそうな知識も少し仕入れたので若干解像度が上がった……と思う。

孫呉の話は「意味」に重きが置かれているように感じた。「死ぬのが怖い。相手も同じなんじゃないか」と不安をこぼす孫権に対して「何か意味があるのではないか」と返した太史慈。あれが話全体の底に流れている。どうして天下を目指すのかとか、天下を取ってどうしたいのかとか、とにかく自分たちの行動に意味を感じたい、意味を持たせたい、意味があってほしいと願ってやまない人たち。

でもさーーーーーー、別に、親友と一緒にいたいと願うことに意味なんていらないはずなんだよな。時代がそうさせてくれなかっただけで。強くあらねばならない伯符と、その理由としての責務をまっとうすると決めた公瑾。あ~~~~~~せつねぇ~~~~~~~~~~~! 一緒にいたいって思ってるだけなのにそれだけのことのハードルがはちゃめちゃに高い。本当に生まれた時代が違えばもっと幸せになれたかもしれんのに。でも、この時代じゃなきゃ伯符はパパに「強くあれ」とは育てられないし、泣き虫伯符のままだと泣き虫公瑾に「友達になってやるから泣き止め」とは言えないだろうし。でもさ~~~なんか~~~もっとなんか~~~~悪霊の話をもっと早くにするとか~~~~! なんかできたんじゃないかな~~~!って歯噛みする。 断金幸せになってくれ……頼む……。

っていう感情を昇華させるための2幕なのにオチがやっぱり悲しい。あれは最終的に公瑾が見た夢なんだろうか。夢でもやっぱり最後にはいなくなってしまうあたり、公瑾はどうあっても現実から逃れられない。夢を見せるのが将軍(孫堅孫策孫権)の役割だとしたら、参謀(程普・周瑜)はそれを現実に落とし込んでいく立場だからかな。最後の雪原もさ、伯符が指した方へ公瑾が動く訳で。あ~~~結局公瑾には伯符の示す未来が必要なんだよな~~~~……切ない……。ここからでも幸せになれる保険ってないんですか?

これはこれで一つの幸福だって言われたら頷くしかないんだけどやっぱ幸せにはなってほしいじゃん????

今後シリーズになるかは分からんけど、最初にこういう話を持ってきたことで、歴史物に共通する「これは全部過去の、すでに終わった話なんだ」っていう物悲しさをまとわせていくんだっていう方針が明確になった気がする。今からでも三国志学ぶかな。次どこの話するか分からんし。ちなみに高祖の歩き方が徐々にしゃんとしてくるところが一番ぐっと来てる。最後、背筋を伸ばして花道を歩くところがいいよね。

2幕はなんだかはっちゃけてた。太史慈孫権の煽り合戦とか、個人的に出てきちゃう黄蓋とか。権ちゃん殺陣間違えるし。客席も仕上がってるからめっちゃ楽しい。てかやっぱり早乙女さんの殺陣すごいな。何がすごいか分からんけどすごいものを見たという感覚だけがある。ブレてない……のか? 一人だけフレームレートが違う。荒牧さんの殺陣から目を離してしまう威力がある。どうすごいのか伝えたいのに全然分からなくて歯がゆい~~~何がすごいんだろう。それなりに場数も踏んだのにまだまだ分からないことだらけだ。それがまた楽しい。

何年経っても新しいことに出会えるって本当に幸せだ。これはやっぱり断金幸せルート探るしかねぇな。