行く末トーキー

はじめからはじめよ

制約 ー 「バクマン。」 THE STAGE

2ヶ月半ぶり……?

鑑賞の記録

  • タイトル:「バクマン。」THE STAGE
  • 日時:2021年10月12日 18時
  • 場所:天王洲 銀河劇場

ワクチン2回打ってもうかなり経つので、公開までのタイムラグもなくそうかな〜と思います。見てすぐ書いて出したい。

座席

1階後方上手。銀劇久しぶりだな〜いつぶりだろうって記録を見返したら去年8月の冬単リベンジ以来だった。1年2ヶ月ぶり。

休憩がない作品も久しぶりな気がしたけど、よく考えたらフェクステ(今年4月)も休憩なかった。記憶がどんどん薄れていく。

雑感

なるほどなーーーーーーー!!!!!ってなった。

原作は名前程度しか知らなくて、舞台化が発表された後にまとめて借りて読んだ。面白かった。面白いと感じただけに、これをどう舞台にするのかが気になった。

記者会見や雑誌のインタビューで、この作品は荒牧さんがやりたいと言い、もし舞台化するなら相方(サイコー)は拡樹さんがいい、と希望したことが強調されていた。この発言があった時に荒牧さんがどのくらいのリアリティを想定してたかはわからない(もしかしたら「5000兆円ほしい!」と同程度だったかもしれない)んだけど、現実として成り立ったわけで。キャストが発表された時は「アズキとカヤは出ないと無理じゃない?」って半端者ながら心配したりもした。

2.5次元と呼ばれる作品を結構見てきたけど、今も「実写化」と聞くと少しモヤッとする。制作陣の都合でキャスティングされたり、あるキャストを目立たせるために話の筋を捻じ曲げたり、そういう事態になったら嫌だなぁと思う。バクマン。舞台化の第一報はまさにこのモヤッとするパターンのど真ん中にあった。原作ではなく制作側の都合が全面に出ているように感じた。

でも、多少のモヤモヤはあれど「無理! 行かない!」ってならなかったのは、これまで荒牧さんが出る作品を見て、荒牧慶彦という人となりを知ったからだ。荒牧さんならきっといいものを見せてくれると信じられた。こういう人を好きになれた幸運を改めて噛み締めたりもした。

そんなこんなで*1当日になって、久しぶりに劇場に来て、開演前のアナウンスでスマホの電源を切るんじゃなくて機内モードにするよう言われて時代の変化を感じて、客席が暗くなる。

雨降ってるーーーーーーー!!!!! めっちゃ雨降ってるーーーーーーー!!!!!!!!

事前特番やゲネ記事を見ないで来たので「水を使う」ことは知ってても、足元のプールでばしゃばしゃやるだけだと思ってた。開始直後に雨が降り出した時は目を疑った。ステアラ*2でさえ流れなかった水が……銀劇で…………。

もうこの時点で原作の完全再現はしないんだろうなと分かる。どこから始まり、何を通ってどう終わるのか。一応は知っているはずなのに知らない世界に引き込まれた。

話の筋はかなり端折ったけど要所要所はきちんと抑えてたし、アズキもいた。いた……んだと思う。なかなかブッ飛んだ見た目だったけど、バクマン。が漫画を題材とした作品だから成り立ってた。

原作と比べて、あれができてないこれができてないって並べるのは簡単だ。たとえば蒼樹嬢が後ろ姿のみ登場だったせいで中井さん周りの筋がかなり変わってるし、カヤは全く出てこない。サイコーがシュージンの熱意を疑うところもサラッと流された(聞き取れなかった部分できちんとやってたかもしれない)。

そういう部分があってもなお、舞台は面白かった。まさに「面白ければいい」の精神だった。亜城木が連載取れた時は嬉しかったし、サイコーが倒れた時は不安になったし、エイジの10週連続1位を阻止するバトルではワクワクした。あのバトル表現は本当によかった。週刊誌に載る漫画は枠や読者を奪い合うライバル同士ってのがめちゃくちゃ伝わってきて、原作を読んだ時に感じた「エイジに突っ走ってもらいたいけどエイジを止める人もいてほしい……!」っていうもどかしさを思い出した。まさかラッコ11号が出てくるとは思わなくて笑ったりもした。舞台セットとラッコの相性がよすぎる。水を使うせいでイルカショーのイメージが抜けない。アシカばりに滑っていく荒牧さんも良かった。

なんというか、舞台ってこんなに制約が多くて、だからこそ面白いんだよなぁ、という原点めいたものを再認識した。期間が空いたから余計にそう感じた。漫画も制約の多いメディアだよね。動かないし音も出ないし、大抵は色もない。けれどそれを逆手に取って吹き出しやらフォントやら擬音語擬態語やらが発展して、実際に見聞きする以上に豊かな世界ができた。舞台を見た時に感じる豊かさも、見えないものを見ようと頑張った結果生まれるものなんだろうね。30代男性2人が中学生にも高校生にもなれる。見た目が変わらなくても「そういうものだ」と受け取れる。この不自由さもちゃんと受け止めていきたいなぁと思いました。

ブログ書くのも久しぶりすぎて〆が思いつかない。まだ何回か見るから、新しい発見があればいいな。

*1:主に仕事が忙しかった

*2:天伝无伝