行く末トーキー

はじめからはじめよ

朧 ― 舞台「刀剣乱舞」維伝 朧の志士たち

観劇納めも刀ステなら観劇初めも刀ステですよ! 年末年始も休みなくお疲れさまです……!

観劇の記録

座席位置

2階の真ん中あたり。見やすいけど1階に行きたいよ~~~~~~~……噂によると当日引換券や当日券でもいい席が出るらしくウニャーってなってます。

雑感

「奴」の存在にも徐々に慣れつつあるし、見れば見るほどいろいろな気付きがあるので刀ステはやっぱり楽しい。

今回のキービズ、男士たちの後ろに龍馬の背中が写ってる。多分布の具合的に龍馬は羽織を着た状態なんだけども、作中で龍馬が羽織を着てるのって、冒頭、以蔵さんと武市さんが死んだ知らせを受け取って「もしやり直せたら」って言うシーンだけっぽいんだよね。時間遡行軍がわらわら湧いている中を突っ切っていく姿がキービズの後ろ姿にそっくり。ネタバレやん。

初回から(「奴」の存在を除けば)不可解だなーと思っていた部分についてもなんとなく解釈ができてきた。朧の文久土佐は龍馬が始めたことなのにどうして龍馬に都合よくできてないんだろう?ってずっと気になってて。都合よくできてないどころか、殺されそうになったり閉じ込められたり割と散々な目に遭ってる。龍馬が始点となってるのに、龍馬の思い通りには進んでいない。

これ、ちょっとした勘違いをしてたのかなぁ、と今回ようやく気付いた。朧の文久土佐が生まれたきっかけは確かに龍馬なんだけど、坂本龍馬本人ではなく、坂本龍馬が抱いた後悔の念を時間遡行軍(or歴史修正主義者)が察知→その「心」を依代に顕現術を行使?→時間遡行軍でも刀剣男士でもない「朧の志士たち」が生まれる、ってことなのかな。武市さんたちは「龍馬から見た」イメージに基づいていて、だから必ずしも龍馬の思い通りに動くとは限らない、みたいな。

そう考えると、あの時間軸はどこからどこまでが「朧」だったんだろう? 城下町では土佐勤王党ではないっぽい普通の町民たちもいたけど、あれはどっち? 時間遡行軍の姿のまま出てくる敵と、土佐勤王党の姿を取った遡行軍(めいた何か)はどう違うのか? 鶴丸が「奴」に向かって「まさかお前まで朧だとか言わないよな」って言ってる意味合いが今ひとつ掴みきれない。「奴」がまんばちゃんの後悔から生まれた存在であってほしくないって思ってる……ってこと……?

鳥太刀が「ここで陸奥守と龍馬が出会ったことは都合がいい」って言ってるのは、この世界は既に放棄されているから、むっちゃんが多少無茶をしたところで歴史の本筋には影響しない=むっちゃんは思う存分龍馬とやりあって「坂本龍馬の物語」を自らの糧にできる、という意味?

1つ分かると10くらい分からないことが出てくる。こんな基本的なことにも気づかないなんて、前回まで私は何を見てたんだろう……それだけ「奴」の衝撃が強すぎたということか……。

物語をただ経験するだけではなくて、自分なりに悩んでぶつかって、消化して、「誰かに託された心」から「自らが語る心」に変えていかなければ強くなれない。これが「物が語る故、物語」に繋がるのか?!とかそういうことも考えたりした。元の主の逸話に基づいて顕現した刀剣男士が、元の主と対面して言葉を交わすことで、男士のみならず元の主にも変化が起きているような気がしてならないんだよね。肥前くんが、以蔵さんを「こいつは犬じゃねぇ、人斬りだ」って言ったり、むっちゃんが「全力で戦って、おんしを斬りたいんじゃ」と言うことで龍馬を立ち上がらせたり、人間と刀の関係が鶏と卵のようにぐるぐる巡ってる。刀の先に人がいるし、人の先に刀がいる。

刀剣男士って、めちゃくちゃおもしろい存在なんだなって5周年を前にして改めて実感した。これは確かに「興味深い」事例だよ。今後彼らがどんな風に変わっていくのか楽しみすぎる。