行く末トーキー

はじめからはじめよ

4 ― イノサン musicale(お題箱返答あり)

我が名は財布に1000円しか入っていなかった侍……(コラボフォト1枚1500円)

鑑賞の記録

  • タイトル:イノサン musicale
  • 日時:2019年12月5日 18時半
  • 場所:ヒューリックホール

アンサンブルキャスト(女性)が1名体調不良で降板になったけれど、演出等は全く変わっていませんでした。幕間の小芝居もそのままです(よく見ると微妙に違うけれど大筋に影響はない)

あと幕間の小芝居、佐々木さんも出てますね……素顔を覚えてないとやっぱり気付けない。多分今回で兼役を全部把握しきったと思うんだが、林さんは自信がない。兼役なし、で合ってるかなぁ。

座席位置

中程の端。今までどこの席でも見えないってことはなかったんだけど、さすがに端に来ると辛いね。前の人の頭が被ってちょっと見づらかった。

雑感

前回の記事で「私はお説教を見に来てない」って書いたんだけど、じゃあ何を求めて見に来てるんだろう?ってずっと引っかかっている。そんなことを考えなきゃいけない作品というのもどうなのって感じだけども……そのへんはもう慣れたというか……。そろそろ悟りが開けそうな気がしてきた。

原作を完璧に再現するなんて無理だってことは重々承知している。使える時間や登場人物の制約がある中で、何があれば私は「いい舞台を見た」って思えるんだろう、と。舞台一般の話をし始めると終わらなくなっちゃうから、イノサンに限定するね。とりあえず、豪華な衣装は絶対。イノサンといえばあの緻密な絵だから、薄っぺらい布とか使われたら一気に興ざめしてしまう。あとミュージカルを銘打つからにはちゃんと歌が聞きたいし、原作で時折挟まるミュージカル風のシーンがあると嬉しい。急に現代風になるところも入ってればさらにいい。何より、登場人物それぞれの強さが描かれていてほしい。自分1人の力では到底ひっくり返せないと分かっていても、少しでも何かできないかって足掻くところが、イノサンを読んでいて一番好きだなぁって思った。

……といってもなんか悲しくなりそうだから初日明けてから原作読んでないんですが……

要素要素を並べると、それなりに「求めるもの」は入ってるんだよね。でもなんか「これじゃない」とばかり思ってしまう。贅沢なのかなあ……でもやっぱりド・リュクセはちゃんと死んでほしかった(コーナーで差をつけろ)

マリーは身勝手に生きる女性ではないんだよ。多分一番「違う」って思ってしまうのがここで、だからこそド・リュクセの話を何度もしてしまうんだと思う。アランを思いながらも、アランの「人が人を殺すことはあってはならない」という言葉で「アランの望む未来にマリーはいないかもしれない」と現実を受け入れる。けれどそれでもマリーはアランの死を看取るし、マリーなりのやり方でアランの望んだ「平等な社会」「人が人を殺さない社会」を目指していく。まぁ確かにシャルルとオーギュストの友情を軸にするならマリーを掘り下げてる余裕はないんだけども……。でもあれはあんまりだよ。

そういえばジャックが出るって知った時に一番期待してたのは、シャルルとオーギュスト / マリーとジャックっていう壁一枚挟んだ攻防戦というか対になるシーンがちゃんと対として描かれるかってところだったと思い出した。シャルルがオーギュストに「ギロチンを用いた平等な死」を説明している一方で、マリーがジャックの理想とする「男性優位社会」をばっさりと否定する。4人が4人とも異なる立場、異なる思想を持っていて、それがバチバチにぶつかる描写が結構好きだったな、と。舞台では一応どっちのシーンもあるけれど、時系列的には分かれてたね。ああいう対立構造こそ舞台で表せたらすごく綺麗だし楽しそうだなって思ったんだけど……私が見た原作は嘘だったのかなぁ。

やっぱり脚本と喧嘩し続けるのはしんどい。原作が好きだからこそ、舞台も好きになりたい。けれどできない。私にとって一番大事だなって思うところがスコンと抜けている。その代わりに入っているシーンに納得がいかない。見れば見るほど、最後の説教はこれまでのシーンの何を受けて、そして何を伝えようとしているのかが分からなくなる。後半戦も頑張っていくぞー……。

この流れで申し訳ないのですがお題箱にも返答しますね。

みやま様、はじめまして。通りすがりのLeadのおたくです。

イノサンは原作を最初の数冊を読み、世界観を把握した程度で観劇したので、みやまさんの感想を読んで「だからあれがこうなっていたんだな…」と腑に落ちるところが多かったです。ありがとうございます。次回の観劇の際にはまた違った視点で観れそうです。

最後にかかれていたフェルゼン役の鍵本輝くんですが、結婚報道のレポーターと、荒牧さんと一緒に革命をめざす若者(腰に赤い布を巻いている人です)の3役を演じています。

幕間の寸劇にも出ていますので、よろしければぜひ再度ご覧ください。余計なおせっかいでしたら失礼致しました。。。

みやま様、はじめまして。通りすがりのL… - お題箱

ありがとうございます。感想記事だとあんまり原作について細かく触れてないのですが、参考になったなら幸いです。

そして鍵本さん情報……! 今日見たら確かに鍵本さんでした。こちらこそわからないまま書いてしまい本当にすみません。フェルゼン伯爵が出てくるシーンはいつも楽しませていただいております。

フェルゼンといえば、去り際の台詞は日替わりになったっぽい。今日は「最近フェルゼンって検索するとホットパンツって出てくるんだ」でした(そんな感じに聞こえた)。前回見た時の「日に日に短くなっていくんだ」は謎です。思わず凝視してしまったけれど短くなったのかどうかは不明……。その代わりなのか、シャルルの下着(冒頭の拷問シーン)がちょっと短くなってたし、学生服シーンの中島さんがハイソックスからニーハイになってた。なんで?! 何があった!? 寒いから?!

結構いろんなところで遊びが増えていくから、そういう点では見てて飽きないです。脚本とは真正面から戦い続けています。

世界一おさげをかっこよく纏える男こと荒牧さんも、ちょこちょこ変わってる。アランを運び出す際の「くそったれ」もそうだし、今日はオリビエを見送った後に「いけー!」って言ってた。ここ、声を上げて笑ったり、ただ静かに微笑んでたりするから彼の中でも定まってないのかなぁと気になっている。冒頭の学校シーンでやってたカードゲームはなんだったんだろう。あとババ抜きで前山さんに勝った時のドヤ顔かわいかったです。

そろそろ体力がきつい。降板した人はもう帰ってこないのかな……微妙に空いたままの空間が切なかったです。