行く末トーキー

はじめからはじめよ

「とは」― イノサン musicale

推し!!!!!舞台初日!!!!!!おめでとう!!!!!!!!!

鑑賞の記録

  • タイトル:イノサン musicale
  • 日時:2019年11月29日 18時半
  • 場所:ヒューリックホール

内容に触れず劇場周りの話をすると

  • ロビーにて原作のカラーイラストなどの展示あり(入ってすぐの階段をちょっと登ってから上を見るといいよ)
  • 恐らく前2列が潰されている(最前はD列?)
  • 物販めちゃくちゃ並ぶ(休憩中・終演後はロビー内でパンフだけ買えるブースが出た)
  • お手洗いめちゃくちゃ並ぶ(キャパと個室の数が合ってないっぽい・下の階で済ませると吉)
  • ワインは小さなワイングラス型プラカップでもらえる
  • ドラァグクイーンの方のお見送りがある(手を振ってもらえた)
  • 通路演出がかなり多いのと、開演前からちょっとした芝居が始まるので10分~5分前の着席がおすすめ
  • 公演DVDは梶アランと武田アランでそれぞれ1枚12000円らしい(本編以外に何が違うかは不明)

です! 物販はパンフしか買えなかったから改善してほしいなぁ

座席位置

前方の上手。通路が近くてわいわいしてた。ただ途中で入退出する人が多くて、人の気配を感じるたびに「演出か?!」となってしまったのは残念だった……。通路が近かったからかもしれないけど、普段見ている作品より多く感じた。なんだろう、平日ソワレで18:30開演だから多少遅れて入ってくる人もいることはなんとなく察せるんだけど、出ていく人が多かったのは……なぜだ……?

雑感

イノサンはねぇ、原作の大ファンなんですよ。2014年頃からずっと連載で追ってる作品です。舞台化発表もグランドジャンプで見たし、推しが出なくても何回か入ろうと思ってた。そしたら推しが出るので心置きなく通うことにした。お財布がすっからかんになった!原作ダイマ記事も書いたしね。

goodbye-talkie.hatenadiary.jp

率直な感想としては「もうちょっとなんかあっただろう」ってところです。私は嫌いじゃないけど、人に勧められるかと言うと「うーん」ってなる。当日券もないし*1

よく、そこそこの分量がある作品を舞台化した時に「忙しい人のための○○」って言われるけど、この作品は「忙しい人のためのイノサン(Rouge)」にもなりきれていない感じ。でもよくよく考えてみると、一応必須とされるエピソードは一通り拾ってるんですよね。その拾い方と表し方がものすごく雑なんだけども……。

イノサンは連載期間も長いし作中で扱っている時間も長い。登場人物も多い。だからどのエピソードを拾ってどのエピソードを捨てるか、誰に焦点を合わせるかがものすごく大事になる。その選び方、つまり「イノサンとは」が多分私と作り手とでは結構ズレてるんだなぁ、てのはひしひし感じました。

ダイマ記事にもあるんだけれど、私は「イノサンとは、生について真正面から取っ組み合っている作品」だと捉えている。

描写のすべてが「生」という一言に真正面からぶつかっていくからです。生きるってどういうことなんだとか、平等ってなんだとか、そういう普遍的だけどだからこそ考えてやまないテーマと真っ向から取っ組み合ってる。私にとって「イノサン」はそういう作品です。

とか

生きている人ではなく、これから死ぬ人、そして「殺す人」から見たフランス革命。どの作品でも絶対に出てくる「ギロチン」を、ただ恐怖の対象ではなく未来への希望や願いとして描く。この視点の転回がめちゃくちゃ好きです。ただ大量に処刑するための道具ではなく、なぜ大量に処刑する必要があるのか、なぜ人員の増加では意味がないのか、そこをきちんと描くために長い長い描写がある。

とかね。

これを書いたのは半年ほど前だけど、それ以降もずっと連載を読んでて、やはり「生きる」ということを「死」という側面から描いた作品だろうなって印象を強く持っている。

でも多分、作り手側は何か違うものが見えている。最後のなんか突然出てきたどえらい強いメッセージは、私が「イノサン」という作品を読んでいるときは一切感じないことだった。言われてみれば分からなくもないが、そんなメッセージのために読んだんじゃない、と感じる。もっとなんか、こう、心の底にある問いかけみたいなものを掴んだはずなんだ。

原作は「シャルル・アンリ・サンソン」と「マリー・ジョセフ・サンソン」の2人を軸に据えたフランス革命の話だ。でもこのどえらい長くて複雑なエピソードを2時間半に収めようとするなら、シャルルかマリーのどっちかを選ぶべきだったと強く思う。そして「イノサン」を特徴づけるのはマリーの存在だから、どちらかしか選べないならマリーが表に出る。しかしマリーの話は現在進行系で未だに先が見えていない*2から、マリーを中心にしたら話がまとまらなくなる。じゃあシャルルを選ぶか? シャルルとルイ・オーギュストの友情を軸にするか? それで作品が成り立つか? って考えると、この脚本、このオチにならざるを得ない……のかもしれない……でもなんかもうちょっとあっただろうよ……。

とりあえず、ド・リュクセはちゃんと処刑されるべきだった。何度でも言う。ド・リュクセはちゃんと死ね。マリーの私怨による暗殺まがいではなく、貴族ですら処刑台の上では平等ということを示すために処刑されるべきだった。あれを見た民衆が「俺達は平等かもしれない」と思い始めたからこそ、オリビエの処刑を止めろ!って動きがすごく生きてくると思うんですよ。だからド・リュクセはちゃんと死ね。

エピソードがぶつ切りになってるから、登場人物に生まれる感情が今ひとつ説得力を持ってくれない。ジャックがここまで怒っている理由とか、ルイ・オーギュストとマリー・アントワネットの関係とか、原作を読み込んだ私でも若干置いてけぼりを食らっていた。原作そのものを再現することは無理でも、なんかやりようはあったと思うんだよな。舞台上で扱うには(作中で過ぎる)時間が長すぎるのかなぁ。

なんかなぁ……舞台上はきらびやかだし衣装は豪華だしぱっと見のインパクトはあるんだけど、話の作り方がしっくりこないんだよな……。ってことをうだうだ考えているうちに2時半になってしまったので寝ます。まだ何度か見るから、もうちょっとちゃんとした感想を書きたい。

*1:公式はこのお知らせもっと早く出すべきだったと思うよ

*2:ここで連載最新話を思い出して勝手にダメージを受ける