行く末トーキー

はじめからはじめよ

選ばなかったもの ― ミュージカル「薄桜鬼」志譚 風間千景篇

今年も薄ミュの季節がやってきたぜ~~~~~~ヒューヒューーーーーーーー

観劇の記録

  • タイトル:ミュージカル「薄桜鬼」志譚 風間千景篇
  • 日時:2019年4月6日 18時
  • 場所:日本青年館ホール

久しぶり(多分2月のエーステぶり?)に青年館行ったら、国立競技場とかなんか付属のビルとかがバシバシ完成しててオリンピックを感じた。なんだかんだであと1年くらいだねぇ。

薄ミュを見た帰りに桜の散る道を通ると本当に感極まってしまう。毎年この時期に薄ミュやってくれ~~~~エモエモしたいんじゃ~~~~!ついでに山南篇まだ諦めてないんで~~~~~~!

座席位置

1階中程の上手。上手神様いつもありがとうございます。前回購入者先行で取ったんだが、前回が上手だと今回も上手になったりとか……そういうことは……ないよね……?

雑感

めちゃくちゃ良かった……。前回の志譚土方篇はただひたすらに翻弄されてばかりで余裕がなかったんだけど、今回は予め「ほぼ初演と同じ・OPのヤイサは水鏡に変更」って覚悟を決めてたのもあってすんなり受け止められた気がする。その上で初演と違う部分が自分のツボにがっつりハマってきたから、見終わってからの満足度が半端なく高い。いいもん見た~~~~!!ってホクホクしながら帰ってきた。あったかかったし桜は見頃だし。

薄ミュは自分の中でなんか特別な作品だなぁ、と改めて実感した。原作が特別好きだってわけではないし、出演者に「この人がいるから」っていうほど強い動機を持つ人がいるわけでもない。だけど「薄ミュが上演される」って聞くとヨッシャ予定あけたろ!ってなる。ゆるくはあるけど作品のファンなんだろうなぁ。キャストを変え歌を変え演出を変え、それでも芯の部分が変わらない…っていうところが、薄桜鬼の持つテーマと合ってるからかもしれないね。

薄ミュシリーズの中で話の筋が一番好きなのが風間篇*1なので、今回も何を見せてくれるかな~~~!ってわくわくしてた。いやもう風間千景という鬼の生き様がこれでもかというくらいかっこよく描かれてて死ぬほど感動した。「鬼の頭領」としての風間千景がかっこよくて強すぎる。

風間は完全にオリジナルキャラだから、ルートによって行動が結構バラける。千鶴に一切興味を持ってなさそうとか、興味はあるが優先順位は低いとか。そんな中でも風間篇は千鶴を大切に思いながらも「鬼の頭領」としての矜持を一切損ねず、それでいて新選組の信じる誠を尊重する姿勢を持ち続けるという……いいところしかない…かっこよすぎる……。初演を初めて見た時は、風間篇なのに風千くっつかないのはどうなん、って思ったけど、今回見てようやくくっつかないのが正解だな……と腑に落ちた。物理的にはくっついてたけど。ヒュゥ。舞台でのガチキスシーン初めて見たかもしれん。ドキドキした。ヒャァ

風間篇は恋愛色がそんなに濃くないから、恋愛以外の部分がものすごく大切に描かれてるように思う。対立や選択、理由みたいなものが台詞と歌で繰り返し繰り返し描かれて、そのたびに誰が何を選んだか、逆に言うと何を選ばなかったかをシビアに浮き立たせて、選ばなかったものの輪郭が掴めそうになる。人間と鬼、本物と偽物(紛い物)、正しいことと間違っていること、良いと悪い、そんな対立が次々と出てくる中で、はっきりとは描かれないものの、風間千景を考える上で一番大事な対立は「やらねばならないこと」と「やりたいこと」なんじゃないかな、と思った。

風間は西の鬼の頭領で、純血の鬼だ。鬼は血統を重んじるだろうから、多分生まれたときから頭領になることを決められてたんじゃないかなぁ、と思っている。だから風間にとって鬼の仁義を守ることとか、頭領たる振る舞いを心掛けることは「やらねばならないこと」になる。言葉ひとつ取っても「鬼とはどうあるべきか」がきちんと染み付いた上で出てくるというか…。

それに対して、風間と最も対立する土方は、武士に「なりたくて」剣術を極め新選組を支え、誠を守るために行動する。身分制度が厳しくて「農民の子は農民」が当たり前だった時代に、ただ「なりたい」の一心でここまで這い上がれたのはものすごいことだ。それを風間は少し羨ましい…というか、興味深く思ってたんじゃないかな。それで土方篇(土方ルート)だとその「やりたい」の思いに引きずられて鬼の仁義を裏切りはぐれ鬼にまでなってしまうんだけど、風間篇はあくまでも鬼の頭領という立場から降りようとはしない。この対立がものすごく綺麗で、土方篇や奇譚を見ると風間篇が見たくなるし、風間篇を見ると奇譚が見たくなるんだよな~~~。千鶴とのくっつき具合的に風間篇の対になるのは奇譚だと思っている。

じゃあ風間篇では風間が「こうあるべき」という思い以上に何かを「やりたい」って思ってないかって言われるとそうでもないな、って気づけたのが今回一番の収穫かな。風間が選ばなかったもの、選べなかったものを千鶴が全部引き受けて立っているから、風間は鬼として立ち続けられたんだと思う。新選組に寄り添うこと、彼らの誠を理解すること、仁義に反した綱道を説得すること、彼らの生き様を覚えていること、人間と関わり続けること。鬼の頭領としては全部不要かもしれないけど、風間個人としては大事にしたいことを全部千鶴が抱えてくれた…んじゃないかなぁ。風間千景が感じた未練を全部ぎゅっとまとめたのが千鶴というか。だから「覚えておいてやれ」とか「見届けろ」って言うし、仙台城では山南さんと平助の方へ背中を押した。自分は選べないけれど千鶴なら選べるから。あそこの背中を押すまでの流れが最高すぎてもうやばかったね…! 作中で初めてヤイサがBGMになるのがここっていうのも憎すぎる。

で、多分風間が唯一自分のやりたいことを優先したのが、最後の土方戦なんですよ!!!!!!!!! えっここの演出最高じゃなかった?!?!?!?!?! もう鳥肌立ちっぱなしよ。初演のときからここの朗々とした「鬼としての名を くれてやろう 薄桜鬼だ」が好きなんだけど、今回はも~~~~~~~~~~最高だった。土方からの一太刀を抵抗せずに受けるってお前…! 土方篇では顔に傷つけられてあれだけ激怒してたのに…! 治癒能力が制御できるならあの傷跡多分ずっと残しとくんじゃないか?!?! 「土方の死に場所を用意する」「死出の花道を飾ってやる」っていう彼自身の強い思いがあのシーンに詰まっててゾワってなった。しかもBGMなしの「鬼としての名をくれてやろう」だよ。なんだあれ。泣くわ。お互いに譲れないものがあるってわかりながらのぶつかり合いが……ほんとに……言葉にならねぇ……。

最後に千鶴を連れて行かなかったのも、彼なりの「やりたい」ことだったのかもしれない、って今気づいた。自分はもう選べるような立場じゃないけれど、千鶴はまだ選べる。自分と来るか、人間の中で生きるか。千鶴が考える時間は多分、風間自身が自分の未練と向き合って片を付けるまでに必要な時間も兼ねてる。でもやっぱり千鶴は大事だから「迎えに行く」ってなっちゃうよね~~~~~~これはいい風千~~~~~~~~~(にこにこ) 実際に迎えに行っても、まだ千鶴が迷ってたら、本当に決心するまで待ちそうな感じではあった。そのくらいの器はある、多分。あっかっこいい。カテコで風間・千鶴・土方の3人で出てきたときに「今回の特権だから!」って千鶴とがっつり手を繋いでたの本当にこれはいい風千ですありがとうございます。他の話では無理だもんね…。

がうちかげ(今命名した)はしょごちかげやひでちかげに比べると、話は通じるけど分かり合えない感が強いなって実感した。しょごちかげは多分頑張れば分かり合えたし、なんか同じレベルでぶつかってた感があった。ひでちかげはとにかく人外だった。話が通じなさそう。がうちかげは3人の千景のうちで一番「人間とは違う」考え方で生きてて、どんなに言葉を交わしても交わらない存在なんだなって思えた。種族が違う。

ヤイサの振り付けが謎にダs(以下略)とか、歌のアレンジそれでいいのか?!とか、謎の木とか、ちょこちょこお前それ何?!っていうポイントはあったけど、風間千景が最高にかっこよかったんで問題ないです。続投キャスも新キャスもいい感じに馴染んでて、本当に「志譚」として生まれ変わったんだなぁ、と思うなどしました。山南篇待ってるよ!

*1:斎藤~藤堂篇とLIVEは過去に配信で見ただけだからうろ覚えだけど