もう11月終わるんだけど!
鑑賞の記録
明治座前の銀杏並木がすごく綺麗だった~! 天気良ければ言うことない絶景だったなぁ。明治座も結構来てるつもりだけど紅葉の季節は初めてなのかな。
雑感
前作で、かっこいいばかりではない、むしろ悲劇的に描かれると分かったから心構えはできてたつもりだけど、やっぱり「なんてこった………」ってなる。なんてこっただよ本当に。なんでこうならなきゃならないんだ。どうしてこうなった。
ただ平穏に生きて死ぬということの難しさ、乱世の理不尽さを嘆かずにはいられない。どうしてこうなったよ。なんで曹操は心の支えであったはずの故郷を焼かねばならなかったんだ。それが乱世というものだと割り切るにはあまりにも悲しい。
なんてこっただよ本当に……。
袁紹は優柔不断だって紹介されたし、実際冒頭でも田豊に「何を言っても『うぅ~ん……』とか『えっとぉ……』ばっかりで」と言われている。でも彼が一番ブレてないところがこの話の肝だったのかなぁと思う。平和な国を、美しい国を作りたいという根っこは絶対に揺らがない。方法には迷ってばかりとはいえ、最後の最後、曹操を天下人へ押し上げると決めた後は誰よりも強かった。そしてその強さこそが天下の取れない理由でもあった。
なんというかさ、人の上に立つことの重みが今とは全く違うんだよね。それすなわち部下の命を預かるということで、つまり必要とあれば、彼らの命を奪うというか、切り捨てなければならないということでもあって。自分が手を下すより酷だと思う。家族のように大切なのにさ、死ねと命じなければならないんだよ。なんてこっただよ本当に。どうしようもなさすぎて「なんてこった」としか言えない。
終盤の曹操が「俺はもう自分の足で歩いていない」と叫ぶところが一番ぐっと来たなぁ。作中では「乱世の奸雄」の一言だけがクローズアップされてたけど、その前にあるらしい「治世の能臣」こそが彼の本来というか、ありたい姿だったんだろうな。そして仕えたい相手として袁紹を思い浮かべた。でも今は治世ではなく乱世で。だから曹操は奸雄となったし、鬼になるしかなかった。
自分ではどうしようもないものに押し出されて進むしかないって、本当にしんどいよなぁ。逃げたくても逃げられない、逃げる先がない。逃げたら大切な存在が損なわれる。でも逃げなくても自ら損なうよう命じなければならない。呂布が「何にも縛られたくない」と悟ったように語るのは、彼なりの反抗だったんだろう。
乱世って嫌だな!!!!(身も蓋もない感想)
二部は曹操の見る夢だった。ハリセン当番が郭嘉で「やっぱりこの軍は狂ってるね」だったのでどことなくみんな様子がおかしかった。確かに狂ってた。呂布ははける方向を間違えるし袁紹は盃をオチョチョチョチョチョってなるし。何よりちいかわ夏侯惇が「弟を殴っていいのは俺だけだぁ~~~!」って叫んで夏侯淵を殴るまでの流れが狂気的だった。夏侯淵も「殴られてんのにフゥ~は違うでしょ!」ってちいかわ化するし。あれも曹操の夢だとしたら曹操はもうちょっと休んだ方がいい。
私利私欲タイムがなかったのでちょっと物足りなかったけど、でも最後の「鬼に戻る時間か」の表情というか立ち姿で元は取れた。2幕のおかげで1幕のズシンと来る重さを持ち帰りすぎずに済んでるけど、それはそれとしてズシンと来たまま帰りたい気持ちもある。なんてこったな気持ちって日常生活でそう簡単に味わえるものじゃないし、味わいたいものでもないし。そういう気持ちを体験できるのもフィクションのいいところだし。フィクションで留められるよう平和を祈りたいよね。