行く末トーキー

はじめからはじめよ

キャッテリアのあれこれに際して感じたこと

これは私が自分の考えを整理するために書いたものです。誰かの感情を否定したり代弁したりする意図はありません。

まず何より、何が起きているのか分からないことが怖かった。5月の連休明けからプライベートがはちゃめちゃに忙しくて、せっかく確保したチケットも手放さなければならないくらいだった。そんな感じで慌ただしく過ごしていたら、12日(初日)に「本確された」みたいな情報が流れてきた。その時は「そうなんだ。まぁチケトレ通したし大丈夫か」くらいの感じだった。ちなみに手放したのは13日の昼。行きたかったな~。

でまぁそれで終わってたら良かったんだけど、どうも何かがおかしい。本確される席とされない席があるらしいとか、入場時は何もなかったのに着席後に確認されたとか、本人確認にまつわるあれこれが公演のたびに流れてくる*1。にわかには信じがたい情報もあった。仮に流れてきた話が全て本当だとしたら、現場は相当混乱しているんじゃないか。個イベでもチェキ会でもあれだけ厳格かつスムーズに本確を進めてきた荒牧さんが、こんな事故みたいな状況を良しとしているのか。この混乱も彼がプロデュースしたから発生しているのか。この事態は「プロデューサー荒牧慶彦」が責任を負う範囲にあるのか。それからもちろん、私(自名義)はちゃんと観劇できるのか。とにかく毎日不安を感じていた。

自ら検索なりなんなりして真偽を確かめたら良かったのかもしれない。しかしそれもしなかった。しなかったというより、できなかった。前述の通りはちゃめちゃに忙しかったのもある。でもそれ以上に、情報にくっついているマイナスの感情が堪えた。何より「荒牧さんは自分の推しと共演してほしくない」がキツかった。そこまで言われるほどなのか。彼が本当に関わっているかも分からないのに。数としては多くないかもしれないけれど、その一言が堪えた。もっとキツい言葉に触れた時に落ち着いて受け止められる自信がなかった。今も思い出すと少ししんどい。

荒牧さんには、彼がやりたいと思ったことを存分にやりつくしてほしいと思っている。「やりたいと思ったことを実現しようと直向きに取り組んでいる荒牧慶彦」が好き。私はそんな彼が作り出したものを存分に楽しみたい。色々大変だし、やってられん!って投げ出したくなることも多いけれど、荒牧さんがいるから踏ん張れる。

だからこそ「共演してほしくない」が一番つらいと感じた。本当に関わったかも分からない状況が理由で彼の可能性が狭まってしまう。共演NGとまでは行かなくても、今後彼がプロデュースする作品が出たら(というか既に🍩が荒牧Pなんだけど)、間違いなく「本確で揉めたあの作品と同じPだ」と囁かれるだろう。幕が上がる前から、なんなら告知された瞬間からマイナスのイメージがついてまわるだろう。それが積み重なれば、そもそも彼に話が来なくなるかもしれない。やりたいことを阻む壁になるかもしれない。彼の自業自得ならまだしも、関わりがあったと確定した訳でもないのに。

本当に正直に、誰の気持ちも考えずに表すなら、身も蓋もない言い方になるけど「なんでそこまで言われなきゃならんの?!」って気分だった。「普段はおたくの複数買いに支えられてるくせに売れると分かった途端足元見やがって」とかそれキャッテリアも荒牧さんも関係なくない?! 荒牧さんは楽しんでもらおうとあれこれ頑張ってるのになんでここまで槍玉に上げられなきゃならんの?! 彼が本確しようって決めたかも分からないのに! 嫌だ! 悲しい! 悲しい!!!!!!私の好きな人を憶測で悪く言うな!!!!!!! て暴れたいくらい悲しかった。内心大暴れだった。今言っちゃったから外側でも大暴れだ。

自分のはちゃめちゃが少し落ち着いたタイミングで、一旦自分の感情を整理してみた。友達にも話してみた。付き合ってくれてありがとう。

色々話したり聞いたりしてみて、どうにか落とし所のようなものを掴めた。あくまでも「私の中での」落とし所ね。現実でどうかとか、他の人にとってどうかとかは今は考えない。

① プロデューサーを名乗る以上、荒牧さんは公演の中で発生した全てのことに一定の責任がある。荒牧さんが一切関わっていなかったとしても責任はゼロにならない。プロデューサーとはそういう立場である。

② 経緯はどうあれ、今回の騒動で「荒牧慶彦プロデュース」の看板にマイナスのイメージがついたことは事実。このマイナスが彼の今後に悪い影響をもたらすとしても、彼は自力で乗り越えなければならない。

③ 今回言われたことの中には、的外れなものや八つ当たり、言いがかりめいたものも確かに含まれる。荒牧さんのファンである私が彼に向けられた言葉の全部を真正面から受け止める必要はない。

④ 好きな人を悪く言われて悲しくなったり、擁護したくなったりするのは自然な反応。しかし相手の感情も大事にすべきものだから、嫌だと感じても否定しない方がよい。適切な距離を保つ。

この4つ。特に①は「言われてみれば確かに」と思うほかなかった。自分だって仕事でプロジェクトリーダーやったりしたのに、こんな単純な原則も思い出せなかった。それほど混乱していたらしい。しょんぼり。

感情を解きほぐす過程で、上4つの他にも1つ大きな気付きを得た。一言でまとめると、私が思うより「ファン(おたく)」には色んな人がいるって話。またすごい単純なことを今になって知っている。気恥ずかしいことこの上ない。これに関しては私が馬鹿なので、遠慮なく馬鹿だなーと言ってくれて構わない。私も私が馬鹿だなーと思った。

「普段はおたくの複数買いに支えられてるくせに売れると分かった途端足元見やがって」のような言い回しが、私にはどうにも理解できなかった。あ、見かけた通りの発言ではないです。こんな感じのことを言っている人がいた、くらいの認識。ともかく、複数買って支えると決めたのは自分では?以上の反応ができない。この発言をした人のバックグラウンドが想像できない。ここまで強い言葉を発するに至った経緯が理解できない。でも友達は「分からなくもない」みたいなことを言う。

これは私にとっての事実で、自慢でも何でもないという前提で聞いてほしいんだけど、荒牧さんが出る舞台で客席が半分も埋まっていない状況ってのを恐らく一度も経験したことがないんだよね。いやもしかしたらあるのかもしれないけれど、パッとは思い出せない。逆に「どれだけ頑張ってもチケットが取れない」なら山程ある。キャッテリアも全然取れなかったし。

でもこれはかなり珍しい、らしい。ある程度の先行が終わってからアフターイベントが追加されたり、初日より前にチケットを売るためのイベントが挟まったり、カーテンコールで「お席ありますので明日も是非お越しください」と言われたり、それでもなお空席が目立つ公演が続く。そういう作品に推しが出た人は、同じ公演のチケットを1人で複数買って知り合いを招待したりして、少しでも席を埋めようとする、こともある、らしい。これが常で、思うようにチケットが取れない作品の方が稀な人もいる、らしい。

全部「らしい」止まりなんだけども、もし私が同じ立場だったら「足元見やがって」と言いたくなるのもしょうがないのかなぁ、と感じた。普段はおたく(客)の自発的な宣伝に頼っているのに、倍率が高かった時だけ「定価でも譲渡はダメ」とにべもなく切り捨てられる。ムッとする気持ちは理解できる。

理解はできるけれど、理解できるだけで、芯のところで腑に落ちるというか、消化することはできないんだと思う。見えているものが違いすぎる。でも、理解できないからといって存在すらなかったことにするのは違うよね。

ここからはさらに理屈が飛躍するというか、推測が8割を越える話。

もしかしたら、荒牧さんの言う「ファン」が指す範囲も、現実のものよりちょっと狭いのかもしれない、と感じた。彼がファン想いであることは疑いようもない事実なんだけど、舞台を見に来た人たちの中には「ファン」に含まれない人もいて、でもその人達も大事にしなきゃいけなかったんじゃないのかなぁ、と。

思えば確かに、彼は「自分以外の誰かのファン」をあまり思いやれていないと感じる場面はあった。例えば個人イベントのサプライズゲスト。殺陣まつりでも、事前に告知されたゲストとは別に各公演1人いた(映像含む)。告知済ゲストのファンは最初の先行から参加できたので一旦脇に置くとして、サプライズゲストのファンは当日、それも終わってから出演を知る。配信もない回は現地にいた人の記憶に頼るしかない。出番はそんなに長くなかったとはいえ、全部知りたい人にとっては嫌な出来事だと思う。

まあ、サプライズゲストくらいなら色んなイベントでやっている。荒牧さんだけがおかしいとは思わない。でも彼は「推しの出番はなんとしてでもリアルタイムで見たい」と思う人の存在を恐らく認識している。何年か前に、舞台の本番とTV番組の放送時間が重なった時があって、その時は被っていることを詫びた上で「TV番組は配信もありますのでそちらをご覧ください」と告知された。TV番組だよ。ちょっと調べれば配信情報も出てくるし、録画でもなんでも対応できるのに、わざわざアナウンスした。リアルタイムで見られない人への配慮を見せた。

自分のファンに対してここまで手厚く対応する人が、サプライズゲストは呼ぶ。それも1回でなくイベントごとに何人か。そこになんとなく、ほんのちょっとだけ、うっすらとしたズレは感じていた。でも言うて個人イベントだしな、と受け流していた。

言い換えるなら個人イベント「だから」良かったのであって、他の場面では通用しない、のかもしれない。舞台を見に来る人たちは、私が思うより、もしかしたら荒牧さんが思うよりずっといろんな経験をしてきている。荒牧さんのファンは多い(推測)けれどどこまで行っても「荒牧慶彦のファン」でしかない。そうでない人の方が多い場で、今までのやり方を採ってもすんなり受け入れてもらえると思っていたなら、多分、本当に多分、ほんの少し見通しが甘かったんじゃないかなぁ。

荒牧さんは私が思うよりもっともっとたくさんのことを考えているだろう。だから杞憂のはずだ。杞憂だと信じている。

このくらい整理できた状態で5/20を迎える。先に書いた通り昼公演を見てきた。カフェに行く時間はどうしても取れなかった。キャストそれぞれの良さを活かした、丁寧な作品だったと思う。客席演出に懐かしさを覚えた。騒動がなければもっと純粋に楽しめたのにな、と感じなくもない。アクスタ劇ってなんだよとか、シャンパンコールがどうとか、中身の話をもっと見かけたかったな。

私自身は何もなかった。身分証も出さなかったし、周りで揉めた様子もなかった。でも、だからといって、いい作品を見ました! めでたしめでたし、で終われるほど穏やかな話でもない。最低限、いつ何があったのかはちゃんと説明してほしいと思う。今もそう思っている。

そんな感じで5/31。荒牧さんのニコ生を見た。リアタイするかはすごい悩んだ。なんかこう……覚悟が要るというか……。でもタイムシフトにしたら多分見ないまま終わりそうな気もして、勢い任せにリアタイした。コメントはいつも消して見ている。今回は特に見たくなかった。とりあえず荒牧さんの言葉を受け止めて考えたかった。

無料部分はともかく有料部分について詳しく言及するのは良くないと思うのでざっくり言うと、本確にまつわる発言はほとんどなかった。公演の中身については結構聞けた。共演者もめちゃくちゃ褒めてた。つまるところ、いつも通りの荒牧さんだった。

放送を見終えて、真っ先に「そういえばこういう男だったわ」と思い直した。あけすけに何でも話すようで揺るがない一線がある。話さないと決めたことは絶対に言わない。盲腸も靭帯も事務所もICLも、知ったのは全部終わった後*2。荒牧さんってこういう人だったわ。靭帯なかったことを5年間黙ってた男だぞ。

もちろん、まだ話がまとまっていないとか、そういう真っ当な事情もあるとは思う。でも、たとえ関係各所で話し合って今後の対策まで決まったとしても、それを私が知るのはずっと先、荒牧さんが「こう伝えよう」と決めた後なんだろうなと予感した。年末くらいまでには一報ほしいけどな~……どうだろうな~……。

黙っていることがマイナスに取られかねないなんて分かりきっているはず。それも踏まえて「言わない」と決めたなら、もう何も言うことはないよ。だって言ったところで曲げないでしょう。人当たりが柔らかそうに見えてめちゃくちゃ頑固で芯が硬いことも知ってるもん。

だから、まあ、看板にマイナスのイメージはついてしまったけれど、荒牧さんならどうにかして覆すんだろうなって信頼も持てた。靭帯も無事に戻ってきたんだし今回もきっと大丈夫。大丈夫じゃなかったとしても、これが彼の決めた道なんだからどうしようもない。私にできるのは「ついていく」か「離れる」かを選ぶことだけ。今のところはついていこうと思っている。

彼を知ったばかりの自分だったら、ここまで割り切れなかっただろうな。もっと大騒ぎして、もうやだ!降りる!って泣いて喚いて、それでも嫌いにはなれなくて、ままならなさに嫌気が差してたと思う。築いてきた時間は無駄じゃなかったって証拠にはなったんだけど、いや、なんでこんな大事件で実感しなきゃならんのさ~~~~もうちょっとプラスの文脈でしみじみしたかったわ~~~~~頼むよほんと~~~~!!!!!!

それはそれとして何がどうしてどうなったかは知りたいので、言えるタイミングでいいので教えてください。来年とかでも全然待つから。お願いしますね。

*1:私自身が責任を取れないからここには書かないけれど、本当に様々だった

*2:本気で調べたら掴めたかもしれないけれど、少なくとも私は全て彼の発言がなければ知らなかった