行く末トーキー

はじめからはじめよ

もうええわ ― ヒプステ オオサカvsイケブクロ

簓さんリングライト1個貸してください

鑑賞の記録

  • タイトル:HYPNOSISMIC -Division Rap Battle- Rule the Stage OSAKA VS IKEBUKURO
  • 日時:2022/10/01 12:00
  • 場所:TOKYO DOME CITY HALL

ライト売り切れるの早すぎない?

今日は運良くかなり前方だった。ありがたいことだね。

でも実は前方ってちょっと苦手だったりする。些細な変化もばっちり見えるし、楽しいし、好きなところもいっぱいあるんだけど、近い=舞台の上からもこちらが見えている(と推測できる)のが……ちょっぴり苦手だ……。

せっかくの近さを存分に味わうべく推し定点したい自分と、そうはいってもすぐ目の前にいる人も気になる自分。というか多分向こうからこっちが見えてるのに無視してるみたいで落ち着かない。でも推しを見たい。目が2組ほしい。

この作品は特に「俺を見ろ目を逸らすな」が重大テーマな2人がいるからなおさら気まずい。蘆笙せんせvs簓さん。でも簓さん見ちゃうんだよ~~~申し訳ないけど~~~~~目が勝手にそっちへ行ってしまう~~~~~~~……。ライブパートでちょっと遠くにいた簓さんから比較的近くにいる蘆笙せんせに視線を移した時にばっちり目が合った……ような気がした。心臓がギュンてなった。ライブ中に微笑む蘆笙せんせの破壊力すごいよね。絶対あの微笑みで数え切れない教え子たちの初恋を奪ってるんだ……そうに決まってる……。

それはともかく。

前の方に座ると、舞台に立つ人を見上げる格好になる。これがまたかっこいい。自分を通り越してずっとずっと上の遠くを見つめる瞳に照明が差してキラキラ光るのがすごい好き。かっこいい人達が輝いているさまは見ているだけで幸せになれる。激しく動けば汗が滲むし息も上がる。本当に生きている人たちなんだなぁ……と阿呆みたいなことを考えながらただひたすら感動してた。でもほんのちょびっと袖に引っ込めばもう整ってるからすごい。キャストだけじゃなくて、裏側にも大勢の人がいて、全員が自分のやるべきことをきっちりこなしているからこんなにすごい作品ができる。当たり前のことのありがたさをしみじみと味わった。

中身の話。

初日に見た時からずっと気になってるんだが、オオサカとイケブクロがぶつかるのは決勝ではなく準決勝……だよね? いろんな人が決勝で会おうみたいなこと言ってるけど、最初に出てくるトーナメント表に従えばsemi-finalなのでは……? あまりにも連呼されるから自分の勘違いなんじゃないかと思ってしまう。どうなの? 3グループから1グループが選ばれるやつ(トーナメント表の一番左)は予選リーグで、その次からは決勝リーグだから「決勝で会おう」になるのか? まぁ確かに「準決勝で会おう」ではちょっと締まりがないよな。謎は解けない。

あと、山田兄弟のうち父親について覚えているのが一郎だけってのも気にかかる。一郎と二郎・三郎でそこそこ年が離れてるのかなと思いきやそうでもない。二郎が生まれる頃にはすでに家にいなくて、別の方法で一郎(と母親)にだけ接触してたのかな? ヒプステあるあるの「明かされていない設定をうまいことエモく見せる」が発動しているのかもしれない。一郎もそう年が変わらない弟2人を育てて大変だなぁ……何歳くらいから父親代わりになってるんだろう。二郎がぶつかってきた時の返し方は兄というか父じゃんね。しかし実際の父親(零)も兄弟が見てないところでは父親っぽい顔してるのがまた……カテコで兄弟がハケてく時の顔! あの順でカテコをやるために簓座長にしたんじゃないかと思えてしまうくらい完璧だった。三郎とやりあった後に頭を撫でようとするし、零も零なりに何か思うところがある……んじゃないかなと思うんだが……。

零おじがライブパートで左手薬指にリングライトつけてることに気付いた時はちょっとキュンとしたしそんな自分に若干腹が立った。なんか……悔しい……。いいように操られている私が気に食わない……! お前も10個くらいジャラジャラつけとけよ! どうせ売り切れてんだからさ!!!

簓さんの話。

track3に比べると目が開いている時間が長くなった気がする。感情が高ぶって見開く以外も糸目でなくなる時がちょこちょこある。それでも簓は簓で、しかしカテコで出てきた時は荒牧さんだなと思う。この違いってどこにあるんだろう? 目を開けてても簓だと思う時と、荒牧さんだと認識する時。カテコだからって訳でもなさそう。背中を丸めてポケットに手を突っ込んでひょこひょこ動く姿を「白膠木簓」だと認識しているのかもしれない。原作の簓さんが好きな人にはどう見えてるんだろうなぁ。OPのLet it Bleedで一郎パートを聞いている時の簓さんの顔が好きだというのを書き忘れたのでここに書いておく。上手じゃないと見えないがいい顔してるんですよ。

例のシーンは3回目なのにやっぱりうるっと来た。「なんで過去形なんや」から先はマイクを通さないのはどうしてなんだろう? それはともかく、目的がはっきりしていれば他人の地雷を踏んだり前言撤回したり非を認めて頭を下げたりを躊躇わない簓が「それでもお前(蘆笙)とまた仲間になりたい、てっぺんを取りたい」とは言わない、言えないことに気付いてまた刺さってしまった。へらへらさらさらと流してばかりの彼の譲れない一線はここだったんだなぁ……。

それでどうしようもなく動けなくなっている簓さんに蘆笙せんせが歩み寄って隣に立って無言でどつくのが良い。あれは「もうええわ」だよね。漫才の区切りが喧嘩の区切りになって、さらにすれ違い続けてきた2人の関係とか、許しがたい過ちとか自己嫌悪とかも全部ひっくるめて「一旦おわり!」と宣言する。ヒプステやら他作品やらで漫才に触れてなかったらあの立ち位置と仕草が何を意味してるか読み取れなかっただろうから、知識って大事だなぁと感じたりもした。

一通りを経た後の簓さんは真剣勝負なのにすごく楽しそうで、見てるこっちも楽しくなる。あれが蘆笙せんせの憧れた背中かぁ……そりゃ憧れるわな……。これからは互いが互いを支えて、零おじも巻き込んでトリオでてっぺんを獲りにいけばいい。

……なんで決着描かれないんだろ? 一応何かしらの方法で勝敗は決まってるんだよね? わかってるなら舞台に盛り込んでよくない?