行く末トーキー

はじめからはじめよ

背中 ― MANKAI STAGE A3! AUTUMN 2020

エーステ&綴役前川さん200公演おめでとうございます~! 2と0がいっぱいだー

鑑賞の記録

  • タイトル:MANKAI STAGE A3! AUTUMN 2020
  • 日時:2020年2月2日 13時
  • 場所:アイプラザ豊橋

新幹線でびゅーんと行ってきました。東京で平日ソワレ見るより健康的な気がする。ただしお金はなくなる。

豊橋駅から会場最寄りまでの電車(豊鉄渥美線)、私は往復共にすんなり乗れました。行きはちょうど出発する直前に滑り込み、帰りもいい感じに列が区切られる。見送った電車はなし。でも後ろをみるとずらーーーーーーーっと並んでたからちょっと時間に余裕を見た方がいいかもしれない。つっても「空いてるドアから~」ってアナウンスされてる割にスカスカだったがな(満員電車通勤に慣れきった社畜並感)。もうちょい本気出して詰め込めばまだ入ったはず。

劇場を出たのが16時頃で、16:15の電車に乗って16:30ちょい前に豊橋着。渥美線から新幹線もそこまで遠くないし、お土産買ったりお手洗い行ったりしても16:47発のひかりには乗れそうな余裕がありました(チキンなのでもっと後の新幹線取った)。

座席位置

花ではなく紙吹雪が降ってくる場所。

雑感

東京ぶりのエーステ、そしてまともな劇場のエーステ。ステラは劇場ではない。

とにかくただただ圧倒された。終演後は腰が抜けてた。

芝居って、1人じゃできないんだなーって思った。春夏組は、みんなでごちゃごちゃわちゃわちゃしながら「全員で乗り越えるぞ!」っていう空気があるように感じる。困ってる人、悩んでいる人を放っておけないというか、最初から「自分たちのいる組」に視線が向いている人が少なくとも1人いる。その人が周りを巻き込んで「課題vs自分たち」っていう構図を作る。

初期の秋組はそれがないんだよね。それぞれがそれぞれの動機を抱えて舞台に立とうとしてる。旗揚げ公演では「今ここにいる自分」と向き合ってポートレイトを作り、仲間がどうこう、というのは本当にギリギリ、それこそ太一の告白まで出てこない。第2回公演でやっと「臣が悩んでいる」っていう事実に気付ける。それでも万里ですらどうしたらいいか分からなくて、自分なりに声をかけてみたりする。ここの不器用さよ~~~~~~~!!!! セッツバンリ18歳。スーパーウルトライージーモードとか言いながら全然イージーじゃないの。

で、そこでの働きかけや、向き合わなきゃいけないんだって気付きが、第3回公演で「1対4」の引き金になる。これまでだったら全員がてんでバラバラな方向を見てたかもしれない。でも、第2回公演で「仲間と向き合う」視点を得たから、左京さん以外の4人がまとまれる。やっと視線が秋組に向く。それで、左京さんを引き止めて、バラバラな1だった5人が「秋組5人」っていうまとまりになって、流れ者銀二を作り上げる。いやーーーーーーーよくまとまってる。実際は異邦人から銀二の間にミステリ(冬2)・ぜんまい(春3)・スカイ(夏3)があるんだけど、それをすっ飛ばして秋組に絞ったことで成長具合が伝わってくる。

1対4の話をしてるときの万里が「年齢は問題じゃない」って分かってるところもいい。左京さんが「10以上年上のおっさんに……」って悩んでるのをバッサリと切り捨てる。左京さんが万里たちに「言いたいことがあるならはっきり言え」って言ってるのに左京さん自身が何も言わないことが不協和音の原因だから、年齢差の話ではないんだよな。左京さんの性格があのままなら、年の差がなくても同じ問題は起きる。「俺と俺たちの間に隠し事はナシだろ」って歌詞にもあるのに、左京さんはマンションの話をしない。迫田から漏れてるって発想に至らないところはちょっとかわいい(余談)。

なんかなーーーーーーーーーーーーーーー古市左京という男の不器用さがここに詰まってるよな(結局左京さんの話を始めるおたく)。

左京さんの発するアドバイスはいちいち正論というか、確かにそうだなって頷けることばかりなのに、全部裏側に「ただし俺は除く」って入ってそうな気配を強く感じる。「言いたいことがあるならはっきり言え(ただし俺は年上だから他の奴らのことをちゃんと汲み取ってやらないと)」的な。お前も!!!!!ちゃんと!!!!!言え!!!!!!!って殴りたくなる。肝心なところで言葉が足らない!!!!!!!!! いづみちゃんに対してもそう!!!!!!!!!(2/1のアナウンスが大変よろしかったそうで。羨ましい)

多分ね、自分の感情を言葉にするっていう経験が圧倒的に足りないまま30歳になっちゃったんだろうなーって、見てて思う。常に「母親のため」「銀泉会のため」「劇団のため」「秋組のため」って自分以外の誰かのために生き続けてきたから、自分がどうしたいかとか、何を考えてるかを自覚する余裕すらなかったというか。冒頭のポートレイト再現でも、みんなが前(客席側)を見ているのに対して1人だけ背中を向けている。心情を吐露する場面でわりと背中向けちゃう。こっち見て! 今どんな顔でそれ言ってるの! 古市左京はその時何を感じたの!

左京さんにとってあの状況は「自分なりに気持ちを見せてる」んだろうな。そういえばここのシーンの感情の揺れ幅が大きくなってて泣いた。「次の公演、今までで最高の出来にしてぇって思ってるのは、俺だけか」って台詞も、言っているうちにどんどん自信をなくしていくのがわかる。うっ……悲しい……。稽古では常に怒鳴ってるか冷静に指摘しているか、の2択だった左京さんの本音。でもどこかバランスが取れてなくてうまく伝わらない。つらい。いい舞台を作るために厳しい指導を入れる。舞台への思い入れを見せる。それは間違いではないんだけど、正解でもない。本当の意味で仲間になるには、そういう「~~~のために」っていう建前を取っ払った本音が必要だったんじゃないかなぁ。

その建前がいらないんだってぶち壊したのが、十座の「愛」発言。ここ、十座が上手に立つ(左京さんが下手を向く)パターンと下手に立つパターンがあるらしく、今回は前者だった。左京さんの表情がよく見えた。偶然にしては出来すぎだろう……。今日は見えないものと諦めていたのに、ばっちり見てしまった。十座が本気でぶつかったから、左京さんが前を向いて表情の変化を見せた。その前の「ああ」はめちゃくちゃいろいろと我慢してるのが分かるだけに、ここで声を上げて笑うのが好きでたまらない。ここで「1対4」がようやく「5」になる。長かったなーーーーーーーーーーーーー!!! 帰ってきた後の「これが愛ってやつか?」もちょっと顔が見えてる。左京さんが何を感じているのかが分かり始める。続けて見るからこそ変化がよく分かる。

いい舞台を作るためじゃなくて、仲間だから本音でぶつかり合う。左京さんがずっと持ち続けてきた芝居への熱意を剥き出しにする。あの殺陣も間近で見てしまって……そう、見たんじゃないんだよ。見てしまったんだよ。足音とか、息を吐く音とか、マイクでは絶対に拾えないだろう小さな音まで全部届く。あのライブ感こそ舞台の醍醐味だ。とてつもなく生々しいけれどどこか幻想的な殺陣。はらはらと落ちる紙吹雪が舞台と客席の境界線を曖昧にしてくように感じた。

感情を隠すために向けた背中が、今度は秋組を引っ張っていく背中になる。左京さんの背中ほんと格好いい。はーーーーーーーーー(思い出しため息)

東京公演の初日からうだうだぐだぐだ考えてたことがようやく文章にできてちょっとスッキリした。原作だけではここまで掘り下げられなかったから、やっぱりステで見られてよかった。

あとは日替わりとかの記録。全部うろ覚え。

  • 影アナは太一
    • 前日に秋組全員をひつまぶしのお店(高級)(多分会員制)に連れて行った左京さん
    • 愛知に来たのに行きたいとこ全然行けなかった! 次来たときは一緒に回るッスよ監督先生!
  • 左京さんを護衛する迫田
    • この先には貧乏神がいるっす(支配人みたいな見た目・今度おれの服をあげるっす→いらないと思うぞ)
    • 下手に向かう左京さんを引き留めようとする迫田「そっちは暗いっす」左京「確かに暗いな。……なんで暗いんだ」迫田「えーーーっと……どうぞ!!!!!!!」
    • 階段は2段ではなく4段
  • スコーン星人×2
  • バイクを見送る左京さんと東さん
    • グーチョキパーで何作ろ~(両手パー・想定する答えは蝶々)
    • 左京「皆様、お手を拝借」(一本締め)
    • 東「まあ、今日にはぴったりな気がするね」
  • 万里「心配し過ぎなんすよ。小籠包か」
    • 左京「ああ。あれは……そう……熱いからな(?)」
    • ラスト左京「なあ、あれ俺もよく分かってねぇんだが何なんだ」
  • 左京さんが結婚する可能性にパニクる太一
    • 「子供?! 男の子ッスかね?! 女の子ッスかね?!」
    • 「男の子なら古市右京ッスかねぇ…………(ぐずぐず)」
    • その後「稽古」を「結婚」に聞き間違えたときも「右京くん誕生おめでとうございます」みたいなことを言ってたような気が
  • 左京さんと万里の言い争いを引き剥がす臣が何故かダンス(ダンス?)

そういえばこれは日替わりではないんだけど、太一がゼロで悩んでるときの歌の「上目遣いで、しなを作って、頬に手を当てて投げキッス」の「上目遣い」、左京さんそれ上目遣いやない、ガン飛ばしてるやつや……ってなった。完全にキマってました。今までずっと太一見てたから気付かなかった。

いやー見に行ってよかった。楽しかった!