行く末トーキー

はじめからはじめよ

熱気 ― BSP「戦場の翼」

なんかすっきりしない天気だねぇ……。

観劇の記録

  • タイトル:ブルーシャトルプロデュース 「戦場の翼」
  • 日時:2019年6月26日 19時
  • 場所:代官山シアター

座席位置

前方ちょっと下手。小さい劇場だからぎゅっとまとまってていいよね。代官山シアターはがっくんのイベントでしか言ったことなかったから、演劇やるとどんな感じなのかな?って楽しみにしてた。

それはそうと、何回行っても代官山シアターまでの道が覚えられない。どこかで絶対間違える。

雑感

いや紙飛行機めっちゃ飛んでくるがな!!!!!!!

結構びっくりした。最初は飛ばす振りだけかなと思ったらガチでびゅんびゅん飛んでくる。びっくりした。終わってから足元に落ちてきた分を見たら、先っちょの尖った部分は発泡スチロール?で保護されてた。あと入り口で回収してた。紙飛行機が10機以上と、紙つぶてが2つくらい飛んでくるのでビビらない覚悟が必要でした。

あうるすぽっと以外でBSPの演劇を見るのはこれが初めてなんだけど、劇場がコンパクトになった分密度がすごかった。始まる前はちょっと寒いかもなって思ってたんだけど、だんだん暑くなってきて、最後には着てた上着を脱ぎたくなるくらいだった。舞台の上の熱気が客席まで伝わってきた。息遣いとか、着地した時の振動とかも分かるし、なんとなく汗のにおいもした気がする。気のせいかも。大きな劇場の全体が1つにまとまっていくっていう感動もいいけど、このくらいのキャパの箱で熱気がぎゅうぎゅうに高まっていくのも好き。五感全部を刺激されたいい時間だったなぁ……。

BSPの作品って、1回の観劇で持って行かれるエネルギーが同じ上演時間の他作品に比べて結構高い。自分の中では高カロリー作品。見る前にがっつり食べてかないと終わってから立ち上がれないくらい疲れる。でもその充実した感じが自分の好みにピタッとハマるからいい。舞台の上で表現されるものは本当に最低限で、観客の想像力も借りて初めて完成するからかな。他と比べると積極的にあれこれ考えようって気にさせられる。

今回も飛行機が身体ひとつで表されてるし、ドッグファイトはリアル乱闘になるし、やっぱりこのギリギリまで削り落とされた表現が好きだ!!!!ってなった。目に入る情報が最低限だから、登場人物の心がまっすぐに届く。人を守るためと言いながら人を殺す道具を作り、それに乗っていく矛盾を抱えながら戦い続ける現実。最初はただ技術の限界に挑む喜びがあったのに、防弾を外すところから少しずつ少しずつ風向きが狂っていく。どこで間違えたのか、あるいは間違ってはいなかったのか。ただ「戦うしかない」という現実がそこにあった。その時その時は最善を尽くしてたはずなんだよなぁ。短い時間で1930~1945年がぎゅっとまとまっているから余計にズレが大きく見えてしまうだけで、あの時こうしていればっていう考えは結局傍観者の実感でしかないんだろうな、っていう虚しさが残った。最後の最後で「あの戦争を知る者はどんどん死んでいく」ってあったけど、知る/覚える以上の関わり方をしなきゃいけないんだと思う。覚えていたところで多分なんにもならない。そういえば、記者さんが冒頭とラストの2回ともメモかノートなりを探す→ない、ってなってたんだけど、あれは何かの暗喩なのかな。文字に頼らず自分で見たこと感じたことを大事にしろってことかなと受け取った。

個人的にはたけるくんが異様に成長してて、最初見た時「あれ誰だ……?」ってなった。成長期怖い。体つきが全然違う。これからもどんどん変わっていくんだろうなぁ。彼だけ時間の流れ方が違う。BSPは(だいたい)同じメンバーで違う演目をやるからこその楽しみがある。同じ部分があるから、違うところが際立ってくる。

あとがっくんの「恐怖」とか「喪失感」の表し方がすごく心のど真ん中に来た。腕がない時の表現がすごい。本当に腕がなかった。あるはずのところにない、っていうのが分かった。あと義手?を付けたあとのぎこちない感じもすごい。そこまでの時間で想像力が温まってきてるのもあって、本当に腕がなかったし、義手を付けてでも操縦桿を握りたい、空に戻りたい、っていう渇望が伝わってきた。見る度にぐんぐん変わっていくからびっくりする……。ダンスも相変わらず完璧を越えていくし……。本当に何なんだろうこの人って見る度に思ってしまう。

また見に行くから、その時は何を考えるかちょっと楽しみ。