行く末トーキー

はじめからはじめよ

馬鹿共の祝祭 ― Rock Opera「R&J」

開演前にライブ用耳栓付けてる人を見た時は何事かと思ったが、確かにあった方がよかったかもしれない。

観劇の記録

  • タイトル:Rock Opera「R&J」
  • 日時:2019年6月15日 18時
  • 場所:日本青年館ホール

座席位置

1階後方の真ん中。急遽決めたけれどいい席に恵まれました。よかったよかった。開演5分前から太鼓持った人たちが客席を練り歩き始めてちょっとびっくりした。

雑感

面白かった! 話の流れはロミジュリそのものなのに、設定が違うだけでこんなに違う話になるのか~~~!!って始終びっくりしっぱなしだった。あと爆音が爆音だったので腹の底からビリビリ来てた。大楽の配信もあるみたいだけど、このビリビリ感は劇場じゃなきゃ味わえないよな。という意味で劇場で見るべき作品だった。ぱっぱらっぱっぱらっぱらー♪

つーーーーーかジュリエットかわいくない????????あ、お誕生日おめでとうございます。

セットが基本2階建て(舞台端だけ3階建て)で、どっちかにジュリエットだけがいる+もう片方でロミオのシーン、っていう時のジュリエットが四六時中非常にかわいい。メインではないから台詞もないのに、仕草だけで「あ~~~~(かわいい)(かわい死)」ってなり続けた。ロミオと恋に落ちてすぐの頃の「早く~~~~待ちきれない~~~~」ってところもかわいいし、後半ロミオが逃亡しなきゃいけなくなってからの「ロミオ……会いたい……」って思ってそうなところもかわいい。何も言っていないところの仕草が完璧に「ロミオに惚れたジュリエット」そのもので、だからこそラストシーンの切なさがすごく心に刺さる……。「銃弾よ、ここがあなたの安住の地。ここに留まって、私を……死なせて」(だったはず)の最後の笑顔が良すぎる。本当に純粋に自分の気持ちに正直に生きてたから、ロミオに一目惚れして、それを認めて、ロミオと一緒に生きるためだったのに……っていう後悔がひしひしと伝わってくる。恋っていいよね……。

ロミオもすごく良かった。佐藤流司さんは「お噂はかねがね…」って感じの人で、ずっと見てみたいと思いながら機会がなく、ようやくここで!っていうわくわくもあったかな。いやぁすごい。初登場シーンが客席の通路(上手側の中通路を一番後ろからダーっと降りてくる)で、出てきた瞬間にちょっとだけそのへんがヒャーーーー!ってなってた。私もヒャーーってなった。グルッパを抜ける時に制裁を受けながら「来いよ!!!」って煽るところが一番かなぁ。いやでもやっぱりジュリエットの葬式のシーンかな。引き金を引く直前の顔がすごかった。「くそったれ」って思いながらもちょっと安心してる、みたいな。解放感のが近いかな。これでやっと終われるっていう安堵も少し見えたのがぐっと来た。一目惚れなのに相思相愛がすぎてもう応援するしかないじゃん……! 「一目惚れって信じる?」って繰り返し問うところもかわいかった。あと仮面が4つ付いてるの! あのシュールな感じたまらない。ああいうの好き。

ロレンス神父のだらしなさっつーかしょうもなさも好きだなぁ。あの人多分「自分が楽しければそれでいい」って思ってない? ロミオにジュリエットの仮死状態の話をしなかった(「忘れた」)のとか絶対そうじゃん。2人のことを思いやっているように見えて何も考えてないなって分かってちょっとぞっとした。でも基本的には出てくると笑ってしまう。「Bまでだ!」とかイエローカードイエローカード→レッドカード→「ここからはロミジュリ抜いて進めまーす」とか。しょうもなwwww(思い出し笑い) でもここのシーンのハグするロミジュリすげぇかわいかった。基本的にあの2人かわいい。

最初に言う通り、この話に出てくる人はみんな馬鹿なんだよな。馬鹿だから自分に正直に動いてその結果を受けて泣いたり笑ったりする。その愚かな素直さが見てて心地よかった。難しいこと考えなくていいというか……。シンプルに考えたら「好き」ってそういうことだよね、っていう気付きを得た、というか。ラストがすごく切なかったのに、カーテンコールで万美さんの誕生日祝ってみんなで踊ったらどうでもよくなってしまったw 馬鹿だから仕方がないよね。

R&Jを見に行くきっかけは藤田さんなんだけど、ティボルトめちゃくちゃかっこよかった……。序盤で歯磨きしてるところはかわいい。結構念入りにしゃこしゃこしゃこしゃこやってる。そして仮面をつけたティボルト……すごい……色っぽい……(ため息)。ダルそうに柱によりかかってやる気なさげに拍手してたのに、長官(ジュリエットの父親)が近づいて来るちょっと前にちゃんと姿勢を正すところが良い。あの時の無表情というかつまらなさそうな表情どえらいかっこよかった。

なんといってもティボルトソロ!!!!!!すごい!!!!!彼の抱える苛立ちとか傲慢さが伝わってきて、マキューシオを撃ち殺した後の「正当防衛だ!」とかもうやばい。そしてロミオと戦うために銃を置く→取っ組み合い→ロミオに銃を取られる→「撃てよ!」←←←ここの顔!!!!!!! 取っ組み合う途中でロミオが口の周りを赤く染めるんだけど、汗もあって本当に鼻血というか多分前歯折れたなって顔になってて。ここのシーン、出てきた瞬間の後ろ姿から最後に撃たれて倒れるまで、一瞬も欠けることなく最高でした。苛立ちの生々しさにぞっとした。いやぁ見れてよかった。あとな、ここでロミオが付けた赤い染料、最後の最後までロミオの手にちょっとだけ残ってると思うんだ……。それがまたロミオの罪というか、取り返しのつかない過去を表しているみたいで背筋が冷えた。あれどうなんだろ、もしかしてマイク握りすぎただけ? でも染料(血)残ってた説取りたいな~。

始終爆音で音楽やら効果音やらが流れるんだけど、だからこそ何も音がしない場所の静けさが際立ってて、メリハリがすごくよかった。舞台の上にたったひとり、何の音もしない、観客全員がたったひとりを見つめているというあの緊張感。すごいよね……。ピリッとした空気も味わえたので満足です。

ティボルトかっこよかったなぁ……。