行く末トーキー

はじめからはじめよ

「舞台が好きだ!」 ― MANKAI STAGE「A3!」秋冬2019

春だね~~~~~~! 東京は桜が咲きました! 春一番も吹いたみたいで本当に春です。春分の日だしね。ただまだ花粉はきつい! もうちょっと頑張ろ~

観劇の記録

  • タイトル:MANKAI STAGE「A3!」~AUTUMN & WINTER 2019~
  • 日時:2019年3月21日 12時半
  • 場所:天王洲銀河劇場

MANKAIカンパニーの組に四季の名前つけた人ほんとすごいよな。季節の移り変わりがこんなにも愛しい!

座席位置

1階中程の上手。

習い性なのかなんなのか、上手の席が来るとちょっと安心してしまう...。もちろん何回も見るならいろんな席がほしいし、さらに欲を言うならセンターがいっぱいほしいけど、上手の席はホームな感じがする。上手神の加護を受けまくってるからね。いつもありがとうございます上手神様。チケ難舞台はだいたい上手席に偏るので本当に加護が手厚い。これからもよろしくお願いします(?)

雑感

19日に「もっかいメインストーリー読み返してみよ~」って言ったんだけど、普通に無理だった...。仕事あるしとうらぶもA3!もイベント始まったし時間がなさすぎる。でも要所要所は見返したので、それも踏まえていろんなことを考えながら見た。

1幕

吸引力の変わらないただ一人の古市左京。

ぶっちゃけると現地のチケットはこれが最後だったんで、もう開き直って定点してきました。本当に定点しかしてない。ライビュはあるし配信も買ったしWOWOWも予約してあるしもちろん円盤も予約済だけど、生で見る「秋冬2019の古市左京」はこれが最後なんだな~~~~って思うと、もう何も見逃したくない...! って思ってしまって...。

青年館と銀劇とで一番違うな~って感じてるのが、ポートレイトのときの「あの手の温もりが忘れられない」の時の表情で。青年館ではちょっとだけ笑ってた。でも銀劇では...なんつーか、惜しむような、懐かしむような、そんな感じに見える。その一言以外も含めて、左京さんのポートレイトはものすごく好きだ。雄三さんには「後悔で終わってる」って指摘されてるけど、そもそもは「ちゃんと後悔もできなかった」ってところからここまでさらけ出せる強さがすごいなって思う。もちろん藤田さんは左京さんではないから、古市左京が30年生きてきた中で、ずっと引きずっている後悔を想像して作り上げたのはわかる。でも、なんて言えばいいかな...本当に血が通っている後悔を見た。「ずっとずっと芝居がしたかった」と言う背中から、泣き出すにも遅すぎる後悔を感じた。涙を流してはいないんだけど、それ以上に悲しいというか...泣いていないからこそ、左京さんがどれだけ悔やんでいるかが余計にわかった気がする。そうか、これが「生身の人間が吐く嘘」なんだな。確かに面白い。

秋組の役者さんたちはほとんど知らない人ばかりだから、それぞれが演じているキャラとどのくらい距離があるのかはわからない。でも、全員が全力で嘘を吐き通しているからこんなに引き込まれるのかなぁ。

全力で騙そうとする役者と、全力で騙されようとする観客が同じ時間を過ごすから、舞台って面白いのかもしれないね。

カポネも本当に最初から最後まで定点してみて改めて惚れ直した。古市左京が演じるなら多分こうだろう、ていう答えみたいなものが、ちゃんとそこにあるってものすごく幸せなことだ。ダンスの時、表情を崩さないというか口元を結んだままで口角の微妙な上げ下げだけで表情を見せていくところとか本当にすごい...。古市左京はああいうふうに笑わないけど、カポネはこう笑うだろう、っていうのがびっくりするくらいすんなり入ってくる。自分の中の「古市左京」像とぶつけ合っていくというよりは、舞台の中にいる古市左京と一緒に作り上げていく感じだから、こんなにスムーズに感じるんだろうか?

もっと見たかったな~~~っていう気持ちはもちろんあるんだけど、心ゆくまで定点したおかげで今は結構満たされてます。最高の古市左京でした......はぁ......。

2幕

左京さんと同じ理由で、紬を定点してみた。

メインストーリーは主に冬を読み返したんだけども、読んでも読んでも「月岡紬」というキャラクターが見えてこなくてちょっとびっくりした。密がわからない、とかならまだわかるじゃん(?)。そもそもこの時点では記憶がなくて謎だらけだし、言動も不思議なところがいっぱいあるし。紬はそういう「わからない」要素がないのに、全体で見ると全然わからない。大学まで演劇をやっていた、オーディションに落ちて挫折して一旦演劇を離れた、今はフリーターで演劇に打ち込んでいる。特に変わった要素もない...よね? イベストやバクステまでは浚えてないので、実は変な性癖があるとか過去が激重とかそういうのがあるかもしれない...けど、メインストーリーからわかる範囲では、一番「ごく普通」なキャラクターだと思う。なのになんでここまで「わからない」んだろう? 掴めそうで掴めない。モザイクの向こう側にいるみたいで居心地が悪い。

推しさんの演じる紬も、見るたびにぐんぐん変わっていくから余計にわからなくなる。今回は紬がミカエルの演じ方を変えて丞に詰められたときの「そんなの、俺にもわからないよ......!」が全然違った。前まではブチギレというか大声を上げてそのまま走り去っていったのに、今回は押し潰されるような声に変わっていた。その後のストリートACTも全然違う。公演期間が長く公演数が多い作品は今までもいくつかあったけど、ここまで明らかに変えてきたのに気づいたのは初めてだ。だから余計にわからない。月岡紬ってどういう人なの? 荒牧慶彦は月岡紬をどう見てるんだ?

何もわからないけれど、紬が嬉しそうだと私も嬉しくなるし、悲しそうだと落ち込んでしまう。ミカエルの表情を見ながらきっと同じ顔をしてしまう。普段は、演劇に限らず日常生活でも「これこれこういう理由があるからこの人は今嬉しい/悲しいって思ってるんだ」って理詰めで考えてようやく少し共感めいたものを覚えるんだけれど、紬やミカエルはそこの理屈をすべてすっ飛ばしてしまう。なんだか不思議としか言いようがない...。これが「心が繋がっている」ってことなのかなぁ?

紬自身は鏡のような人なのかもしれない、って考えた。ストリートACTの後、1人で「もう少しだけここにいてもいいですか?」と言う前、鏡に向かって手をのばすところでなんとなく浮かんできた。周りがどういうことを考えてるのかを読んだ上で、自分がどうしたいか/どうするのが一番いいかを考えるのが当たり前になっているというか。でもそれは「紬が考えた誰かの心」つまり鏡に写った虚像と同じで、本当のところとは違うかもしれない、みたいな。うーーーーん上手く言えない。まだちょっとわからない。舞台の都合で歪み曇った鏡を見ながら何かに気づいたんだけども。難しいなぁ。

いろんなことを全部放り投げて考えると、「彼女」からの手紙を読んだときの本当に嬉しそうな表情が一番好きだな~って思った。あそこの心底幸せそうな笑顔があるから、その後の「無理して作った笑顔」とか「全部飲み込んだ上で、それでも彼女を救うと決めたときの笑顔」が生きてくる。

何もわからないのに、こんなに引き込まれる人は初めてだ。この人を知らなかったらどうなんだろう、みたいな疑問を持ったことが馬鹿らしくなるくらいに目が離せない。もしも話をしてもしょうがない、今この人を好きでいられてよかったな~~~って思った。相手は違えど同じようなことを客席全体が感じてるんだなーって思うと、胸がいっぱいになる。板の上で輝いている推しが大好きだ!

もう春は眼の前だ! 最後まで全員で走り抜けられますように!