行く末トーキー

はじめからはじめよ

これが演劇だ ― トゥーランドット ~廃墟に眠る少年の夢~

2019年の観劇初めも社中さんでした! ピカレスクセブンから1年かー。

観劇の記録

好きな舞台作品がある人は見て損がない作品でした。東京はまだ2日4公演あるし、地方もあるのでよかったら見てください! ここからはネタバレごんごん入れていきます~!

座席位置

2階前方の真ん中あたり。ずっと見に行くかどうか迷っててようやく決心したのでちょっと遠かったし客降りはほぼ見えなかった…。でも年末に買った新しい双眼鏡のおかげでとても楽しい! いい双眼鏡は観劇ライフを豊かにする!

雑感

「演劇は、世界を変える」

舞台をよく見るおたくでこれ刺さらない人いる???????(あえて主語を広げていく戦法)

世界が変わったかどうかはわからないけど、人生は変わったのでホイホイと釣られました。そしてまんまと嵌りました…。泣いたとかそういう感じではなく、自分の心に火が灯った感じかなぁ…。「演劇」というメディアの素晴らしさを直球で見つめ直しました。

あとモマのダンスがまた見れて嬉しかった~~~~~! モマは社中さんとの出会いの作品だし今も好きな作品です。ケツァールがユーリの台詞言うところでもうヴッッてなるし、カラスがモマの立ち位置で「はじめまして」って言うところでちょっと泣いた。あとスコープス!また会えて嬉しいよスコープス!!!!! その見た目でスコープスのショートコントするとまじでシュールでふふってなった。

社中さんだけじゃなくて、いろんな作品や演出家のパロディが入っているのも「演劇」をテーマとした作品だからおもしろかった~! しかもこれアドリブ…なのかな…?(台本には一切入ってない)。お前は弱虫なんかじゃない!!!!!っていうところで耐えられず吹いてしまったw ペダルなw

ちょうど移動しながら読んでた本が↓だったので、ロボットらしい人間と人間らしいロボットの話は勝手にリンクしてしまった。

ロボットたちに生命はない、死とは人間に与えられた特権…と言いつつ、最後はロボットたちがみんな死んでしまう。ここの反転がなんかこう…心に残る…というか、もう少し考えてみたいなとひっかかった。ロボットたちがそれを知ることはなかったけれど、世界が変わったから彼らは「死」を手に入れたんだろうか?

劇中劇の「トゥーランドット」も、出てくるたびにちょっとずつお芝居が違うから、そのライブ感が「演劇」っぽくて目が離せなかった! 1回として同じものがない、というのが「生きている」ことにも繋がるのかなぁ。

役と本人の境目がなくなっていく。

台本のとある場面に書いてあるこのフレーズが、演劇の一番おもしろいところなのかもしれない。現実と非現実、板の上と客席、役者と観客、それぞれの境目がだんだん溶けて混じり合って、一つの熱狂する塊に変わっていく、その過程が一番おもしろいと思う。

世の中はVRだなんだと盛り上がってる中で、ずいぶんと時代錯誤なことをしてると思うことがある。なんでこんなバカ高いお金を払って時間を工面してそこそこ遠い劇場まで来てるんだろう、って我に返ることもある。でも、我を忘れるほどの熱狂が待ってるってわかると、自然と足が劇場に向かっちゃうんだよな~…。よく見る作品が2.5次元に偏りがちなのもあって、私は演劇に「そこにいる」「そこにある」という生々しさを求めているんだと考えていた。でもこの作品に出会って、どちらかというと境目が溶け合って生まれる熱狂の中にいたいと望んでいるのかもしれないな~と気づいた。

演じる者。それを助ける者。そして、それを観る者。大勢のものがいてはじめて演劇となる。

この「大勢」のうちの1人になるために、なんとなーく無理して劇場に行っちゃうんだろうな。

……さぁ。一から始めようか。

20年続けるって相当難しいのに、その締めくくりにこの一言を持ってくるという覚悟がすごくて、体温が2度くらい上がった。これからどんなところに向かっていくんだろう、全部は見られないけれど、ほんのちょっとだけでも見に行けたらいいなー!

以上! いい観劇初めでした!