行く末トーキー

はじめからはじめよ

「シュウカツ3」感想

※ 10月末の試写会後に書いた記事です。映画が公開されたので本体の感想も公開します。

試写会の様子はこっち

goodbye-talkie.hatenadiary.jp

予告どおりネタバレします。あと絶賛はしていません。

本編の話

全体的に脚本の詰めが甘いなぁと感じました。サスペンスとして見せるなら、台詞の1つ1つまで絶対に気を抜いちゃいけないと思うのです。でも、あれ?そういう設定?そこでそれ言う?みたいなものがちょこちょこ出てるので、そのせいで集中が乱れたり、話の流れが読めてしまったりと少し残念でした。演技を見るという点に集中すればそこそこいい作品だったと思います。

あとあれだ、3話とも「そこまでして就職したいのか…?」と思ってしまって気が散った。氷河期って言われる時代ならなりふり構ってられないのかもしれないけど、昨今は売り手市場って言うし、そんなに頑張らなくてもそこそこ選び放題な人たちでは?って思う。てか社が全体的にダメな気配しかしない。そこまでして入っても多分3年持たないんじゃないかな。…って無駄な心配をしてました。

第1話 就活という名のゲーム

会社員「この中に1人、選考試験を受けていない人がいます」

わたし「おっ人狼か?」

まぁ人狼っぽい感じだった。定石通りに進んでいて、お手洗いのくだりで3割、選考どこ受けた?のあたりで8割、その後の言動で9割5分ほど正解が絞れたので、後半はずっとみぞたくさんの表情すげぇなぁ…と思って見てました。トーク部分ではほわほわゆるゆるな人っぽいな?と思ったけど、作中では異様にカリスマを発揮していた。周りに1人か2人くらいこういう意味わかんないやついるよね。

この話で一番引っかかったのは、みぞたくさん(役名忘れたので本人の名前で通します)が「紛れ込んだ偽物は社員である」という前提で話しだしたときですね。1回めは聞き落としかな?と思ったのですが、2回見ても冒頭では「偽物の立場」について言及してないと思うんですよね。2回とも聞き落としたってことはないと思いたいんだけど…。採用試験を受けていない、という説明しかされてない気がする。まぁ妥当に考えれば若手社員を起用したんだろうな、という推測はできるものの、そこを確認しないままだとするとちょっと危ういよなぁ。だって単なるバイトとか、すでに内定を得た学生とかだったらどうするんだという…。あとプロジェクトバラけるとかの可能性は? やっぱ詰めが甘くて、クライマックスへの爽快感があんまり得られなかった。

第2話 遺産

この話が一番よくわからんかった。話の筋というより、なんでそこまでする?みたいな。冒頭であったように、吉本はそれなりに冷静でそこそこ能力がある学生だと思う。だからあの遺産に頼らずともそれなりのところに就職できるのでは??? :thinking_face:

この話も、家業がどうこう…と具体的な話を出さないまま進んでいき、特になんでもないタイミングで「農家」とわかる。なんでそこ? 農家であることが切り札になるわけでもないし、なぜ伏せておいたんだろう?

身代わりがよくない、てのもわからなくはないけど、相手の見た目年齢から考えるともう時効のように思う。あと、書類?筆記?から面接までずっと一貫して身代わりになってたら大問題だけど、何層かあるうちの1回だけってことは、それ以外で能力の妥当性を認めてもらった、ってことじゃないの? そこまで大事…? どっかで現実味が削られてるんだよなぁ。あと連絡先ってそれどこまで有効なの?

推しさんの演技は申し分なかったです。この人の透徹な狂気がめちゃくちゃ好きです。一途にどこかおかしい方向に邁進してるところがいいですよね…。悪役やりたいって言ってるのは知ってるんだけど、こういう方向の狂気をもっと突き詰めたものが見たいなぁと思いました。

第3話 面接後

渡部さんのやばさが際立つ話だった。目が笑ってないってのを文字通り表現できるってすごいよなぁ。見ているうちにむかむかしてくるというか、むかむかしてきたから途中から情報を遮断してた。演技でそこまで思わせるって本当にできるんだな、と思ってしまった。都市伝説だと思ってた~。推しさんもこういうことがしたい、ってことなのかな。

鍵垢で教授disるくらい別によくね?とは思う*1カンニングは結構やばい案件だけど、まぁ退学までは行かない気がする。単位取り消し→留年、くらいが妥当なラインじゃないかな。まぁ留年したら就職できないよね~っていうのはわからなくもないけど、私の先輩・同期・後輩全員に該当してる人がいるので「来年またがんば~!」くらいで終わってしまう。…環境がおかしいだけか? 学閥もアホらしいし、話の筋は一番バカバカしいなと思って白けてしまった。逆に言うと演技だけで惹きつけられたので、その点はめちゃくちゃすごい。

話に入り込んでどうこうというよりは、カットワークの切れ目とか、演技の機微を味わう作品だったなぁ、という感想です。

*1:SNSじゃなくてTwitterって言ったほうがリアリティあるよなぁ