行く末トーキー

はじめからはじめよ

信綱 ― 舞台「炎の蜃気楼昭和編 散華行ブルース」

昨日はミラステ行かなかったんですが、行かなかったら行かなかったでなんか据わりが悪いですね…。初日から1日1回はミラステ見てただけに、なんか1日があっさり終わったな~と思いました。行ったら行ったでめちゃくちゃ消耗するんですけどねぇ。不思議。

観劇の記録

  • タイトル:舞台「炎の蜃気楼昭和編 散華行ブルース」
  • 日時:2018年8月16日 14時
  • 場所:全労済ホール/スペース・ゼロ

座席位置

後方のドセン。今まで左右に寄ってたので、どうしてもプロジェクションマッピングがずれて見えてたんですよね。しょうがないとはいえ、一度はドンピシャで見たいと思っていたので助かりました。

満員の客席で、開始前に誰も話さずただ風の音を聞いている…というあの空気が好きです。あのピリッとした空気の中で、幻想即興曲が始まってだんだん暗くなって、曲がクライマックスに入るところで完全に真っ暗になる、という一連の流れで、自分の中でスッとモードが切り替わるっぽい。

雑感

公演期間も折り返したからか、全員の心が磨り減っているというか、燃えながら突き進んでいるように思えるところが増えた。さすがにここまで見れば我を忘れることも減ったから、こちらが落ち着いている分、板の上の変化が入ってくるのかもしれない。

そういえば昨日、なんとなく紅蓮坂の感想を読み返してみた。当時はもういっぱいいっぱいで、死にそうになりながら書いた記憶がある。でも今読むと、まだまだ余裕があったんだなぁ…と懐かしい気持ちになった。

見れば見るほど、自分の言葉が何も捉えられてないように思えて、何を書けばいいのかわからなくなる。言葉が温度を持たないというか…何を書いても上滑りするようで、それならいっそ何も残さないほうがいいような気もしてくる。

けれど、これが私なりの向き合い方で、これ以外の戦い方を知らないから、書かざるをえないんだよな。不可抗力。景虎景虎の、直江が直江の分の罪を背負って歩くように、私は私の罪とか業みたいなものを背負って歩くしかない。それが生きるってことなのかもしれない。

ダメだなぁ、なんか当たり前のことしか書けていない。いろんなことがぐるぐると巡った結果、出てくる言葉がすべてありきたりになってしまう。

今日は「俺を殺して調伏しろ晴家ぇ!」の一言が、今までとは違ってすがりつくような、疲れ果てた末の一言になっていた。今までは自己嫌悪とか罪悪感でいっぱいになっていたけれど、今回はもう全部投げ出したい、みたいな、自己嫌悪すら通り越した諦観だった。その他も、温度が下がった…というよりは、一度頂点に達した後の、自分に対して何か感情を持つこともできなくなった冷たさを端々に感じた。諦めるともまた違うんだよな……なんていうんだろう。感情が何も湧いてこないというか、枯れた泉みたいだった。それまでにたくさんの葛藤や絶望があって、そこで全部出しきってしまったから、「切ったのは俺だ」の一言が掠れてちぎれてしまった。

直江と景虎の関係を表すようで、好きだなと思う台詞がある。

「信綱……。信じる綱、か。名は体を表すというが、この綱はどうも怪しい」

(夢幻燈ブルース P244)

舞台ではまるっと飛ばされてるエピソードなんだよな…。今回の作品だと、綱ではなく「ザイル」と表されているが、本質は一緒だ。直江はザイルを断ち切ってしまった、と思っているけれど、景虎は直江という「綱」を最後まで掴んだままだった。この非対称な関係が、どうしようもない悲劇の源泉なのかもしれない。互いが互いをこんなに欲しているのに……どうしてわかりあえないんだ……。

人間の精神というのは、400年の時に耐えられるようにはできていない…んだと思う。生きている者にとって死は恐ろしいものだけれど、不可逆だからこそ安らぎでもある。時間の流れは人間の精神にとって酷すぎる。なぜこうまでして生きなければならないのか、またわからなくなってしまった。

アフタートーク

織田!

織田が増えたね~~~って始まって、のんびりまったりいろんな話を聞きました。ハンドウと佐久間盛政のキャラが被ってる話とか、紫紫紫とか。やっぱり本編とアフトの落差が激しすぎるんだよなw この座組だからこそこの作品ができてるってのはわかるんだけれど、それでも「なんなんこの人たちwwwww」ってなる。好き。

あとやっぱりみんな直江の印象が強いみたいで…w 直前のニコ生か何かでも「稽古場入ったら直江が叫んでて入るに入れない」って言ってたけど同じ話してた。本読みの時から「ウアアアアアアア」ってなってたらしい。すごい。でも楽屋ではお腹空いたお腹空いた言ってる平牧さんほんとにメンタルが強い。今日の話を聞く感じ、彼の中で完璧に切り替えてる…?っぽいので、そこらへんが強さの秘訣なのかなぁ。

直江の話してるときに、平牧さんが笑いながら翔さんの肩とか触っててちょっとジェラっとしました。おまえらいちゃいちゃすんじゃねぇーーーーーー!!!ってなった。完全な八つ当たりです。

最後に主従調伏をサービスしてくれたうえに、客席通路を通ってはけてくれたので「この主従、めっちゃサービス精神溢れてる…!」と感動しました。成仏した……と思いきや、信長に念を食らわせなければならなかったので精神が忙しかったです。信長を圧倒したので満足しました。

もう一つの上杉*1が始まったのでそろそろこちらの上杉もラストスパートか……。全力で見届けます。

*1:戦ブラ