行く末トーキー

はじめからはじめよ

茶番 ― おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」三重

※ 三重公演はありません

観劇の記録

ネタバレしてるけど多分読んでも何も伝わらないだろうから、とりあえず時間があればGロッソに行くべきだと思う(真顔)。

きっかけ

知り合いの熱烈なダイレクトマーケティングに心惹かれるものがあったので、久々に軽率芸かました。最近忙しかったりお金がなかったりで腰が重たくなってるなぁ…。

そのダイマ、個人的にはこのブログにでも掲載したいレベルで好きなんだけど、何が好きかって言うと「読んでも何も伝わらないところ」が一番好き。貶しているとかではなく、多分これは現地で見ないと何もわからないやつだろうな~!という予感がした。確かに見なきゃわからないものだった。見てよかった~!

シアターGロッソは初です。TDCホールには何度かお世話になってるんだけれど、そこから奥に行ったことがなかった(フードコートなどにも入ったことがない)。なんだか不思議な構造をしてる場所だった…。

座席位置など

後方の下手。座席表で見たときは結構遠いな~…って落ち込んだんだけれど、座ってみると意外と近くてびっくりした。ドリンクホルダーがついててアイアを思い出した。アイアなくなっちゃうらしいね…。良い劇場だった…とはちょっと言えないけど、どの席でもわりと見やすくてお手洗いの回転率が高く、敷地内でトレーディングできる*1のがいいところでした。…アイアの話は今ここですべきではない。

雑感

イイハナシダッタノカナー…?

めちゃくちゃおもしろかったんだけれど、文章で書いても何も伝わらない気がする。だって↓読んでどういうことかわかる?

「弥次さんにはジェンガのルールが全くわからず値段を叫ぶ男が見えるけれど、喜多さんには生首にフルーチェを食べさせる男が見える」

ダイマされたときも↑と似たようなことばかり書いてあったし、初日などに見た人からも同じようなレポが上がったけれど、私はわからなかった。今はわかる。なぜなら劇場で見たから。

事実を並べて書くと本当にこの通りなんだけれど、文章にすると驚くほどに何も伝わらない。すごい。まさに「百聞は一見に如かず」という壮大な茶番劇だった。でも最後にはなんかすごく良いことを言ってた…気がする! 生まれちゃったんだから終わりまで生きるしかない、とか、終わりがあるからこそ茶番は面白い、とかそういうこと言ってた。言ってた…よね? でも最後には団子をぶちまけて終わったから、終わってみると「イイハナシダッタノカナー…?」になってしまう。でも、茶番劇だからこのくらいのさじ加減がちょうどいいのかもしれない。

弥次さんと喜多さんはリヤルを探すためにお伊勢さんへ向けて旅に出る。でもその「リヤル」とは何なのか?というのがうまいこと誤魔化されて、…いうなれば狐につままれたような気分になる。ストーリーもめちゃくちゃだし、登場人物たちの行動もなかなかに支離滅裂だ(それが笑ってしまうのだけれど)。それに、座席の作り方も「リヤル」を誤魔化すことに一役買ってると思う。

弥次喜多では、通常の座席の他に「お伊勢参りシート」というものがある。最前列より近い!という触れ込みは知ってたけれど、今日見てみたらほんとに近かった。というか舞台上にあった。そりゃあ入場できるタイミングがギリギリになるわけだ。舞台上にあるもんだから、劇中でもわりと絡まれてた。あと劇場中程の通路席が人質に取られてた。前説で「X列XX番の座席の方、人質になってもらいます」って言われる演目なんて多分弥次喜多しかねぇだろうな…。そんな感じで、観客がストーリーに巻き込まれる場面が結構ある。それが、いい感じに「(観客が普段過ごしている)現実」と「リヤル」と「弥次喜多の世界」をまぜこぜにしていったなぁ…!と感じた。1回映像で東京ドーム見えたし。

なんかのタイミングで「観客は仏様かもしれない…」と思ったんだけれど何がきっかけか忘れた…。

すごく真面目に書いてるんだけれど、作中はとにかく笑ってた。喜多さんブラックと弥次豊とか*2。いい歳してなんでこんなことやってんだ?!みたいな才能の無駄遣いが大好きなので、めっちゃ歌うまいけど中身なんもない!とかそういうのがいっぱいあって満足~~~~~!

どんなに訳がわからないことが起きても、弥次さんは喜多さんが大好きだし、喜多さんは弥次さんがもっと大好きだってところは絶対にブレないんだろな~ってわかるからこそ、安心して翻弄されてたのかもしれないなぁ!

百聞は一見に如かずな茶番劇、ごちそうさまでした!

*1:私が見た作品の場合

*2:あのまま放置したら廣野さんがどうしてたかは正直気になった