行く末トーキー

はじめからはじめよ

ひとり分の重さ ― BSP「新選組」宵ノ章

当日券で宵ノ章キメてきた。

観劇の記録

  • タイトル:BSP「新選組」宵ノ章
  • 日時:2017年12月22日 18時
  • 場所:あうるすぽっと

暁も含めてネタバレあります。

座席位置とか

後方の下手。選べるから下手にした。やっと全体が見える席だ...。前の方も好きだけど、複数回通うなら1回は全体が見える席でも見たい。わがまま~

そして初めてクッションがない席に座ったけど普通に座り心地よかった。サイズ感がちょうどよい。アクティングエリアとウェイティングエリアを分ける都合上舞台を嵩上げ?しなきゃいけないのはわかるが、クッションと和解できなかった...。

劇場前に置いてある開演時間とか書いてある看板?の時間が間違ってるのが気になった。普段は19時開演だけど今日は18時開演なんだよなぁ。

雑感

土方歳三の憂鬱

冒頭、がっくんが出てくるところをじっくり見ました~~~~~!これのために後方下手取ったと言っても過言ではない。中程のドアから出てくるのかなと思ったら一番後ろのドアからで、しかも客電が落ち始めるちょっと前から歩いているから、現実と非現実の間って感じでときめいた。横顔 SO GOOD. 客電が落ちてくると同時に客席が静まっていくのが体感できた~~~~~! この「始まるぞ」って感じ大好きです。遠くから見ると行灯がふわふわ浮いているように見えて、これはこれで素敵だった。

やっぱり冒頭の近藤さんが何を言ってるかわからない...。円盤リピらなきゃ...。絶対大事なことを言っているはずなんだよ。それがこちらに伝わってこない、受け取れないのがとてももどかしい。ほんとに何を言ってたの??????

暁で木刀に込められた想いを知ってからこっちを見ると...木刀が出てくるだけで泣けてくる...。試衛館でわいわい素振りしてたころの象徴なんだろうなぁ。それを京都まで持ってくる源さんと、上洛にあたって捨ててしまった土方さん。それぞれの覚悟というか、「武士」という存在への思いの違いを感じた...。しかもその木刀が拷問に使われる。人を守りたいと思って素振りしてたあの木刀で人を傷つける...oh...。武士になるって難しいんだなぁ...。自分たちの力ではどうしようもないくらい大きくて強い流れに押し流されている。今だからこそ「過去に起きたこと」っていうくくりで落ち着いて考えられるけれど、当時を生きていた人たちにとっては、本当に明日がどうなるかわからない薄暗がりの中だったんだなぁ。自分の信じるもののために生きるって、ただでさえ難しいのに、あの時代に志を貫こうとした彼らは本当に強い人達だった。

あと、どのシーンか忘れちゃった(確か池田屋前?)んだけど、隊士たちが「~~~~ですよね、局長!」みたいな感じで近藤さんに呼びかけるところも、暁を見るとちょっと暗い影が差す感じがする。隊士たちは特に深い意味を持たずに「局長!」って呼んでるんだろうけれど、近藤さんにとっては重荷になりうる言葉かもしれないなぁと深読みしてしまった。

芹沢暗殺シーンや拷問シーンで響く笑い声が...前に見たときよりさらに狂気度を増してる気がする。怖い。自分でも制御できない感情に呑まれているように見える。まさに魔物に取り憑かれているというか...。でも、そのきっかけになった芹沢の暗殺では、浅葱の羽織を着てないんだよね。沖田は「この羽織には魔物が潜んでいる」って言ってた(と思う)けれど、土方が人の道を外れるきっかけになったときはその羽織を着ていない。羽織に魔物が潜んでいるのは沖田だけで、土方にとっての魔物は自分の心のなかに潜んでいたのかなぁ。暗殺直前の「私は人でありたい」が彼の本心だと信じたい。

相変わらず立川はかわいかったです。立川は最後まで人だったのかな...?

そしてがっくんの足は遠くから見ても美しかったです。造形美。

沖田総司の純愛

最初に見た時は、圧倒的な情報量や方言が原因でやや消化不良だった。それが今回暁を見て、BSPにだいぶ慣れてきて、それから事前に本を読んだおかげでだいぶ読み解けた。めっちゃくちゃに悲しい話だった...どうしようもなさというか、やるせなさ?みたいなものが根底にあって、そこから自分がどうするかを決める話...だと思った。

沖田章で気になったのが、沖田の過去シーン。19日と今回とで多分台詞が変わってる気がする。

子供「し、死んでる...!逃げろ!」→ 「血、血が出てる!逃げろ!」

妹「兄上を返して」→「兄上をどうしたの?*1

ここ結構大事なシーンだと思うんだよな...。沖田が人の道を外れた時期。「死んでる」と直接言わなくなっただけで実際は死んでるのかもしれないけれど、なぜ変わったんだろう? 気のせいではないと思う。もし宵を何度か見ててこのシーン覚えてる方いたら記憶違いかどうか教えてほしいです。もしかしたら完全に自分の勘違いかもしれない。そうだったらちょっと恥ずかしい...w その時は、馬鹿な観客もいたもんだな、って笑ってください。

暁から見ると、山南さんと沖田が仲良しだったことが腹落ちするので、最後の慟哭が重たくなった...。浪士組以前から人でなし(青い血の狼)だった沖田にとって、「狼にはなりたくない」と言い切った山南さんはどういう存在だったのかなぁ。逆に、山南さんにとって沖田はどういう存在だったんだろう。2人が仲良しだったのがなんか奇跡みたいに思える。互いにそう思ってたのかな。

最後、山南さんが「これで切腹する理由ができた」みたいなことを言ってた気がする...ちょっと自信がない。山南さんは死にたかったんだろうか...? 脱走は切腹と知った上で、試衛館時代からの禁酒の誓い?も破り、もう会わないと言っていたはずのあかりと共に逃げる。 ただ斬り合う以上に自分の生を粗末にしてるように見えた。山南さんなりの「人である」ための抵抗かもしれない。しんどくなってきた...。

沖田章の殺陣も、引きで全体を見るといろんなことが起きてた。やっぱり目は足りなかった。特に、対馬藩邸前?の吉田vs沖田で、格子戸の向こう側が...! 岡田以蔵が助けるために外に出ようとしているのを桂が引き止める。表で2人が戦っている間ほぼずっとその攻防戦が行われてて、岡田以蔵にとって吉田稔麿はただの雇い主ってだけじゃあなくなったのかもしれないと初めて気づいた。やっぱり長州側メインでもう1作やりません? 絶対このへんも激アツでしょ。

池田屋新選組名乗りが、試衛館の名乗りと対になってるんだろうと気づくとしんどさがマシマシになった。許せ、とか、恨むなら恨め、とか、自分がしていることに向き合った上での一言が重たい...。誠の武士ってなんなんだろう。斬った人の存在を背負うことなのかな。わからなくなってきた。

まとめて

あえて遠くから見ることで見えたもの、感じたものがたくさんある。一番感じたのが、誰かが倒れる時、そして首が落ちた時の衝撃がここまで届いたことだ。これまではただ席と舞台が近いから地響きが伝わるんだと思っていた。けれど、遠ざかっても尚足元に衝撃が伝わってきて、なんというか、これは全部生身の人間が起こした出来事なんだなって再認識した。何人の命を背負っていたとしても、倒れたときに伝わる重さは一人分しかなくて...なんて言えばいいのかな...一人分しかないからこそ、背負うものの重たさを想像して勝手にしんどくなった。生きるってどういうことなんだろう…?

OP/EDのダンスは今回初めて全体像を見た。めちゃくちゃかっこいい......! EDで羽織が舞い上がるところは照明と合わさって夢みたいだなっていつも思う。幻ってこういうものを指すんだろうなぁ。

これは前回書こうと思って忘れたんだが、2幕頭にがっくんが下手から出てくるとき、一度舞台に向かって軽く頭を下げるんだよね。この些細な仕草がとても好き。彼なりの切替方法なのかな。

それから、カテコの始まりと終わりが好き。なんのきっかけもないのに、これでさっきまでの世界はおしまい、ってわかるところ...? 今まで見てきた劇は、だいたい何かの音楽がかかってて、終わりました~~~~~!ってなってた。そういう「終わった」感がないのに静かに終わった感じがするから好き。それでカテコがあって、最後に主役の4人とがっくんがはけるところの照明がほんと好き。逆光?で顔が見えなくて、光の向こうに並んで歩いて行くところほんとにかっこいい。ここは引きで見て感動した。近くてもいいんだけれど5人を視界に収めた時のバランスの良さがとても好き。これからも彼らの歴史は続いていくんだって思える。

ささやかな話題。よりつぐくんの名乗り、めっちゃ難易度高いように思う。一人だけやたら文字数が多い...。「いけのうえよりつぐ」って長くない?

アフタートーク

なおきくん・けんじさん100公演目おめでとうございます回~~~~~~!おめでとうございます!

ameblo.jp

それな! 5年間何かを続けるって本当に難しい。この作品からのド新規が口に出すことじゃあないんだけれど、こうして縁があるまで続いてくれて嬉しい。垂れ幕に興奮して「写真!写真撮って!」ってぴょんぴょんしてたのがかわいかったです。

アフタートークでは、それぞれが「役としての関係」を大事にしてるのがわかって嬉しかった。その場その場の反応を大事にしてるから、一つとして同じことが起こらない。それってもう人生じゃん(???) 役として生きるってことかなぁってぼんやり思った。

終演後物販

前回の反省を活かして、カフェスペースじゃなくて入り口付近のテーブルでアンケート書くことにした。書くのはやめない。だって伝えたいから。

今回はけんじさん・たけるくん / なおきくん / 鐘ヶ江さん / かつやさん・黒田さんだった。並んでる途中で鐘ヶ江さんのブロマイドが完売したのでびっくりした~~~。やっぱりセンチ買い?とかする人も多いのかな。

なおきくんに「100公演おめでとうございます」と言えたので満足です。こういう物販ってどのくらい話していいのかわからないね...お金の計算とかしてる間は話してていいんだって思えるけど、そうじゃないときはどのくらい話せばいいかわからん。難しい。

19日宵→21日トーク→21日暁→22日宵、と順調に物販列が伸びてきててすごいなぁと思いました。

はぁ~~~~~~楽しかった!次で最後とか信じられん!大阪検討しようかな!

*1:どうしたの、ではなかったかもしれないが「返して」でないことは確か