行く末トーキー

はじめからはじめよ

 ー「人間風車」

刀ステの日程がえぐすぎてびっくりなみんな~~~~~~~!元気~~~~~~~~~~?! 私は死んでる~~~~~~~~~!

その発表10分ほど前になんとなく決意して人間風車のチケットを買って見に行きました。そしたらもう刀ステの日程とか全然問題ないわ~ってなるくらいのダメージ(いい意味で)を受けたのでダメージ軽減のために記事に書いておきます。いや書けるかわかんないけどさ、書かないと終わらないんだよ。このえっっっっっっっぐい感じを残したままなんて寝ようにも眠れないよ。

みんな見に行けばいい。見に行って日頃のえぐさとか全然軽いわってショック療法受ければいい。責任は取らないけどな!

観劇の記録

劇場について

初めての劇場だったんだがめっちゃきれいで非日常感あって気に入った。やっぱり「これから観劇するぞ!」って気合入る感じがほしい。雨も降っていたので駅から濡れずにいけるのもうれしい。あとお手洗いのご案内がめっちゃ丁寧だった。入場前は2階ロビー的なところで並ぶしかないんだけど、開場後は「入場していただけると1階2階合わせて36部屋ございます~そちらへどうぞ~」って案内された。1階は並んでたけど2階はスカスカだった。

そして受け取るチラシが分厚い。パンフ以上にある。受け取ったときにもしかしてパンフ挟まってるのかな、と確認してしまった。全部チラシだった。2.5系はほとんどなくてある意味新鮮だけど持って帰るのに若干苦労した。

座席位置

2階センブロ後方。昼に思い立ってぴあで買ったにしてはいい席だった。

そもそも人間風車は事前にチケットを用意してて、ただその日はどうしても行けない用ができてチケットを譲っていた。うーん惜しいなぁ惜しいなぁと思いつつ若干予定が読めない+刀ステのDVD積んだりチケ代出したりってことを考えると気軽に見に行けないなーどうしようかなー…と悩んでいた。なぜいきなり「行こう」と決心できたかは自分でもよくわからない。ゴーストの囁きかな。

あとどうでもいい話、最初チケット買うときに「あ、U25チケットあるやんラッキー」と思ったら初日が誕生日の翌日でぎりぎり使えないやつだった。うっかり買うところだった。危ない…これうっかり間違えてたらどうなるんだろう。

感想

感想に入るわけだけど、見に行ってほしいからこの連休と地方公演期間、少しでも検討の余地がある人はここでやめてほしい。ネタバレされないほうがいい。するけど。

スケジュール見てとりあえず確認してくれ。頼む。

www.parco-play.com

観劇直後の様子がこちら

地震きたわーびっくり。

ひどかったんじゃない。「よすぎた」からこそこれ以上の近さで見たらやばいっていうことを表現したかった。突然思い立ったからオペラグラスも持ってないし、眼鏡も普段使いのちょっと度が弱いやつだった。加えて聴力がやや不安定な時期なのですべてのセリフが聞き取れたとは言い難い。周囲が笑っているときに何を言われたかわからず笑えなかったときのほうが多かった。観劇のスタイルとしては準備不足そのもので、ただ今回はそれが幸いした。多分当初の予定通りのチケットで観劇スタイルもそれなりに整えていたら完全に「呑まれて」いたと思う。この準備不足状態でも最後立ち上がることができず、ようやく立ち上がってふらふらと劇場を出たあとしばらく何も食べられなかった。水も飲めない。声もうまく出ない。手が震える。周りがざわざわと感想を話しているのが異星人みたいに見えた。

舞台という場は、役者と観客が想像力を働かせて作り上げる場だと思っている。それがここまで効いてくるとは思わなかった…。舞台の筋はそこまで複雑ではない。平川が裏切られて腹いせに復讐の話を語ったらサムがそっくりそのまま実行しちゃって平川びっくり、くらいの、文字で見ればよくある話だ。そう、「文字で見れば」な!!!! 今考えると何がそこまで恐ろしかったのかわからない。ただとにかく平川の語る「ここからはじまる話」が恐ろしかった。記憶をつなぎ合わせて五感に働いてくる自分の想像力が恐ろしかった。ホラーゲームはわりと好きだしそういうものをここまで怖がったことはない。なのになぜここまで恐ろしかったんだろう。わからない。ぐちゃぐちゃになった顔面なんてゲームでいくらでも遭遇するしなんならもっとえっぐい場面にぶつかったこともある*1。なのになぜその場にない死体をここまで恐ろしいと思ったんだろう。わからない。なんだったんだろうほんとに…。あえて言語化するなら「歯止めの効かない想像力」が恐ろしかったのかもしれない。劇中でも平川が「誰かの想像を見せられてるようだ」と言うけれど、あの場に死体がある=視覚情報がある状態ならここまでどツボにはまることはなかった。何もなかったからこそ、「舞台を見るぞ!」というテンションで高まった想像力が(倫理的な意味で)最悪の方向にフル回転してしまったのかもしれない。ただただ恐ろしい思いをした。平川が裏切られるきっかけとかは正直どうでもいい。そこまでは前菜だ。本番はそこからで、自分の想像力の臨界点を試されたような気がした。自分で考えたことに自分でダメージを受けている。でもこの構図ってリアルでの流血・事件がないだけで平川の身に起きたことと全く同じだと今気づいた。そしてぞっとした。「サム」という存在があったから平川は自分の想像力で自分を追い詰めた。私がそこまでいかなかったのは「サム」が不在だからだ。けれどふとしたきっかけで「サム」に出会うことがあるかもしれない。もしかしたら自分が「サム」なのかもしれない。そう考えられる自分の想像力が恐ろしい。

全然まとまってない…自分の思考で自分が追い詰められている。自分のことのはずなのに制御がきかない。眠りたいのに眠れない感覚に似ている。アフトあり回ならともかくなし回だったから後味の悪さ本当に半端なかった。カテコ入ったときも「えっ…今…え……?」ってなってた。というかあれで落ち着いて拍手できた人どういう状況なの。ほんとにわからない。ただただ恐ろしさに支配されていた。

恐ろしさといえば、サムが雷に打たれたときの音と光、それから銃の発砲音にめちゃくちゃびびって体が跳ねたんだけどみんなおちついててちょっと恥ずかしかった。え、あれにびびらないの無理じゃない…? あと平川の部屋にサムが入ってきて国尾を殺すシーン、ドアから漏れる緑色の光が客席1階上手側を照らしてるのもなんでかわからないけれどめちゃくちゃ怖かった。

劇中では平川は「自分が殺される童話」を想像することができない。このあと彼の作り出した想像と共に死ぬまで生きていくとして、平川は自分が殺される童話を書くことができるんだろうか。私は、私が殺される童話を想像できるだろうか。ただ殺されるのではない。何らかの寓意を持って「童話」として成立するように死ななければならない。羽を広げなかったサムのように。それを試されているような気がするけれど、それこそ自分の想像力の到達点のようで、考えるだけで恐ろしい。

自分が殺される童話、想像できますか?

*1:OUTLASTのDLC