行く末トーキー

はじめからはじめよ

事実は小説よりも ―「まわれ!無敵のマーダーケース」

奇なりや?

観劇の記録

  • タイトル:まわれ!無敵のマーダーケース
  • 日時:2017年10月21日 18時(チームK)
  • 場所:新宿サンモールスタジオ

いやぁ予定合ってよかった…。チームPなら何度かチャンスはあったんだがKはほんとにここしか空いてなくて…木ノ本さんを見るから絶対K!ってなってたんだけど今回ばかりは無理かと思った…よかったよかった。これもめぐり合わせだね。

ネタバレにご注意ください

劇場や座席

狭い!近い!ぎっちり! 薄暗い階段を抜けて狭いロビーを通ったら即劇場!A列ミニパイプ椅子!B列普通の椅子!C列からあとは段差に普通の椅子! というインパクトある劇場だった。小劇場ってぎっちり感あっていいね。みっちりじゃなくてぎっちり。伝わって。

ぎりぎりにチケット取ったから端かなーと思ってたらほぼど真ん中でびっくりした。客層も普段見に行くような劇とは全然違って男性も多くてそれもびっくり。ご夫婦かな?という感じの方も多かった。

最後に入り口を塞ぐように補助席(パイプ椅子)が出てて、心の中で「土砂崩れ席」って呼んでた。見た人ならわかると思う。伝わって(2回目)。私のスマホは劇場内圏外だったんだよー。

雑感

冒頭の謎映像(情熱大陸に似た何か)は謎だったけど劇パート入ったらぐんぐん引き込まれて、終わってみたらあーーーーーおもしろかったーーーーーー!ってからっと笑えるお芝居だった。でも帰りに歩きながら考えてみるとちょっとホラーな感じもしなくはないような…?1粒で二度おいしい。2チームあるから四度おいしい。

お目当ての木ノ本さんはすごかったなぁ…あの純真なホセ(遠い夏のゴッホ)はどこに行ったんだよホセぇ! ものすごく勝手気ままに振る舞ってる藤澤さんほんと憎めない。マリー藤澤ネット。これはあれだよ、ほっとけない!って世の女性を思わせて、ちょっと付き合うともうついていけない!ってなって別れるタイプの男性。末國さんがずっとついていってるのすごい。真面目だなー、気が弱いのかなー、と思ったら最後に「先生の作品の参考になるなら…」ってほんといいやつだなお前!死ぬかもしれないんだぞ!!!!マゾかな??????

最初のリハーサル(ゲストなし)のときは本当にホラーが始まったのかとびくびくしてしまうくらい真に迫ってたのに戻ってみたらみんな極普通の人たちでその時点で夢中になる。いやだってギャップがすごい。演技をしてる演技を見てるのめっちゃ面白い。そんで一番笑ったのは斎藤さんだなー。

「やばいよやばいよ!」

やばいよ!(伝染)

この人多分ものすごく演劇やりこんでる人だよね…? それが棒読み演技してるってのがもうほんとツボで!場の温度に合ってないのがほんとにやばい。やばいしか言えない。ほんとなんかものすごくツボついてきてしばらく笑ってた。全然笑うとこじゃないんだけど!やばいから!

殺人鬼もすごく…クールだった…。淡々と喋る感じが連続殺人鬼って感じでとてもよい。でもみんなに翻弄されて「サイコパスなの?」とか「ちょっとだけならいいよ」とか言っちゃうのかわいい。「ここ殺人鬼いまーす」からの存在アピールがかわいい。こんなにかわいいのにラストはぞくっとするほどクールでかっこよくなるの反則でしょ…かっこいい…かっこいいの暴力…。確かブロググループ内に佐野さんが大好きな方がいたような気がするんだけれど確かに好きになるのわかる…演出にも名前あったけどどのくらい関わってるのかな。

小説家は小説家なりの戦い方がある!って藤澤さんが奮い立つところ、描写が人間風車でウッってなった…あれはほんとトラウマものだけどこっちは人物の心情描写が中心だからまだ大丈夫だった。物語って人を動かす力があるんだよね。完全な嘘なのに状況を打開する一手になったりする。それがとてもおもしろい反面少し怖い。あれで最後オーナーが起き上がって発砲したら後味めちゃくちゃ悪いホラーだ。それはそれでちょっと興味があるけれども…。冒頭の映像でもスーパーからレモンが消えたってあったけど、嘘は現実を変える力があるってのがちょくちょく示されてた。それを無意識に操れる藤澤さんほんと化物かなにかかなーって帰り道にちょっと考えてしまった。小山田さんはあの場面で「自分の小説なんて何の役にも立たない」って諦めてる。諦めない藤澤さんが頼もしいけれど少し怖い。無邪気だからこそぞっとする感じもする。

で、帰りに新宿まで歩きながら考えたのが、なぜ私(観客)は殺人鬼が出てきたときに彼が役者ではなく殺人鬼だってわかったんだろうってことだった。チラシには「殺人鬼:佐野大樹」ってあるから、佐野さんの顔が分かる人は気づけると思う。けれど私は今まで佐野さんの顔を知らなかった。けれど彼が出てきた瞬間「殺人鬼だ」と気づいた。けれど劇中人物はなかなか気づかない。そのギャップが笑いを生むんだけれど、よく考えるとこれちょっと怖くない…? さとみちゃんは匂いで気づくんだけど、それだって彼が出てきてしばらくしたあとの話だ。私は見てすぐに気づいている。何を基準として「役者でない」と思ったんだろう…? しょうもないことかもしれないけれどしばらく考え込んでしまった。メタ認知とかそういう話なのかなー。なんか不思議だ。

そんな感じです!