残念なお知らせ
なおミュージカル「さよならソルシエ」再演につきまして、Blu-ray & DVDの発売は、現在のところ予定はございません。予めご了承ください。
— ミュージカル「さよならソルシエ」公式 (@m_sorcie) 2017年3月17日
初演はDVD化されているからしょうがないのかもだけど再演も映像に残ってほしいなぁ…
こうしてその時限りの縁が増えていくんだろうな(軽率にチケットを買い足しながら)
本題
先日「渋谷のTSUT〇YAはすごい」という話をしたときに、戦国無双のほかに↓を借りていた
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2012/06/21
- メディア: DVD
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初恋のときに「見たことないけどこれあの有名ななんとかペダルの演出」と言ったが、実際本家本元ではどうなってるのか見たくなったのと、「鈴木拡樹がすごい」と聞いたのでなんとなく借りてきた。
前提
普段は原作を先に読んでから舞台に赴くなりDVDを見るなりしているが、今回はレンタル期限のこともあるし原作漫画も結構な巻数があるのでスキップした。だから原作知識はWikipedia流し読み程度で、自転車を頑張る熱血もの、というほぼミリしら状態で鑑賞した。たぶんこのあとまたT〇UTAYAで原作を借りると思う。
ちなみに前回の記事は本編を見ながら書いたので支離滅裂感が増していた。今は特典ディスクのバックステージ映像見ながら書いている。
雑感
自転車のハンドルだけで自転車競技を表現するというのは知っていたから冒頭でペダリングが始まったときも驚きはしなかったが、作品世界に入り込むのには少し時間がかかった。いまいち乗り切れないうちにギャグシーンなども挟まるので「これはどういう表情で見ればいいんだろう…」と思いながら鈴木さんの猫耳かわいいとぼんやり眺めていた。
それが変わってきたのが1年前のインハイ回想でガチレースが始まってからだ。先ほどまでギャグを差しはさみつつ日常を描いていたのが、一気に非日常に切り替わる。冒頭のぼんやりした印象が拭い去られて、自分の足と自転車だけを頼りにただひたすらペダルを回す、ひたむきさに目が離せなくなる。違う高校に所属しながら互いを認め合っている関係だったり、自分の弱さを認められない人がいたり、叫んだり怒ったりと取り繕わないむき出しの感情が全面に出てくる。
そして1年レースの時の小野田vs今泉vs鳴子のシーンになるころには食い入るように画面を見つめていた。鳴子の「ええから登れ言うてるやろ!!」で心を刺され、今泉の「追いかけてるだけじゃその先はないぜ!」からの小野田の「よかった、追いついてぇ!」で思わず立ち上がりかけ、ラストスパートの「誰にも勝ちは譲らねぇ!!!」で手が震えた。冷めた目で見ればただハンドルを握って足踏みをしているだけなのに、ひたすら自らの足で前に進んでいるようにしか見えなかった。
なぜそこまで入り込めたのか、見終わってから考えてみると、おそらくそこに映った「滴る汗」があったから…だと思う。パタタ、と音が聞こえそうなくらいに滴り落ちる汗。キャラクターとしての台詞ではなく、生身の役者として「血も汗も、最後の一滴まで絞り切る」を叫んだあり方が、目を引き付けたのだ。たぶん。
普段、ごく普通に生活していれば、人の汗が滴るところを見るなんてそうそうない。そんな状況で「全力を出せ」と言われたときと、舞台上とは言え汗がぱたぱた落ちる中で全力を叫ばれるのは全然違う。その説得力が、生身の人間が「弱虫ペダル」を演じる意味なんだろう。
冒頭とラストに「スタートを切る」から始まるモノローグがあるが、同じことを言っているはずなのに全然違うように聞こえた。
終わってみればもう1回見てみようかなと思える良作に変わっているのだから、最初の印象は全然あてにならない。先日終わったばかりらしいが、新作が来たら生で見てしまうかもしれない。